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zoom RSS テーマ「地代・家賃の値上げ・減額」のブログ記事

みんなの「地代・家賃の値上げ・減額」ブログ


2回に亘り地代の減額に成功、更新料もなしで合意更新 (東京・豊島区)

2012/03/15 16:08

 豊島区の南池袋に住むSさんは、池袋から数分のこの場所で長い間、居住しながら1階部分で商売をしていた。今から、10年位前にあまりにも地代(坪あたり約5000円)が高く、商売していくことさえ困難と考え、入会していた民主商工会に相談したところ、借地借家人組合を紹介された。


 組合ではSさんと相談の結果、近隣の相場や同じような駅前に近い場所の相場などから現行地代の半分位の減額請求をすることにし、組合に入会したことも含め地主に通知を出した。当時、地主は組合に対抗するために税理士を代理人として交渉に臨み、最終賃料合意後の物価指数を根拠に2割の減額を提案してきた。斎藤さんは組合と相談し、不服として調停の道もあるが月額約2万円の減額で合意することにした。


 そして、今回、更新を迎えて、地主はSさんが組合に入会しているためか、更新料の請求は一切せずに、合意更新して契約書の作成を提案してきた。Sさんは、これ機会にあらためて地代減額を請求することにし、組合事務所に相談に来た。組合ではあらためて近隣などから月額3万円の減額請求をし、窓口として組合がなることを再度通知した。


 地主は、通知書に示された月額3万円の減額請求に対して、月額2万円の減額を示し、そのうえで、更新時期の1年前にさかのぼって減額をすることを提案してきた。


 Sさん「合意することにしました。組合に入会し、何回かの減額や様々な問題でお世話になって助かりました」と語った。


 


 


東京借地借家人新聞より 


 


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高すぎる家賃の減額を (東京・板橋区)

2012/02/02 09:46

 板橋区氷川町のAさんは、6階建てのマンションの5階に、10数年前に引越してきた。以来、入居した時と同じ家賃を支払っていた。


 数年前、近所の不動産屋で自分たちが住んでいる同じマンションの入居募集の広告を見て、家賃が3万円も安い金額が提示されていてびっくりしたが、その時は、そんなものかと思っていた。


 今年、長年勤めていた会社も定年退職して、あらためてインターネットなどで自分が住んでいるマンションの家賃を調べてみたところ、3万円も安い家賃で募集していることが分かり、10数年同じ家賃で支払っていたことに怒りを覚え、管理している不動産会社に同じマンションで同じ間取りなのになんでこんなに家賃に開きがあるのか問いただすとともに家賃の減額と支払いすぎた家賃の差額を返還するよう求めた。


 管理会社は2階と5階の差で問題ないと回答してきたので、どこか相談できるところはないかと組合事務所に相談に来た。組合では「賃料の値上げ値下げは双方の合意が原則です。賃料の減額請求も賃借人が黙っていると減額をしない家主が多いです。しっかりと請求し、相手が応じない場合は調停などの法的手続きも含め検討しましょう」とアドバイスした。


 その後、管理会社に請求したところ1万円の減額を提案してきた。Aさん「組合に入会し、もっと減額できるよう頑張ると」語った


 


 


東京借地借家人新聞より 


 


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家賃の値下げ請求をした場合であっても現行家賃額で供託する 

2007/11/14 09:02

 家賃の減額請求をしても勝手に
        主張する金額で支払うのは危険である


 (問)家賃15万円の賃貸マンションを借りている。最近、隣の入居者が月13万円の家賃で借りていることを知った。同じ間取りあるにも拘らず、2万円も安い家賃というのは納得が出来ない。月末に13万円の家賃を持参し、家主に家賃の値下げを交渉したが、家賃は受領して貰えなかった。家主に家賃の受領を拒否された時は供託をしないと家賃の不払で契約を解除されると聞いたが、どうしたらいいのか。


  (答)民法494条「供託」は「債権者が弁済の受領を拒み、又はこれを受領することができないときは、弁済することができる者は、債権者のために弁済の目的物を供託してその債務を免れることができる」と規定している。借家人は賃料額を法務局に供託して措けば債務を履行した(家賃を支払った)ことになる。


 家賃の値下げに関して、借地借家法32条は「建物の借賃の減額については当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃の支払を請求することができる」と規定している。即ち、借家人から家賃の値下げを請求された場合、裁判で適正な家賃が確定するまでの係争期間中の家賃は、家主自身が相当と認める額を借家人に請求することが出来る。


 それでは家主が「相当と認める額」に関しては、東京地裁1998年5月29日判決で「裁判が確定までの間は賃借人には『賃貸人が相当と認める額』の賃料支払義務がある」として、その賃料は「特段の事情のない限り、従前の賃料と同額であると推定することが相当である」としている。


  借家人が家賃の値下げ請求をしても、借家人は家主が「相当と認める額」(家賃15万円)を暫定的にせよ係争期間中は支払わなければならない。家主の請求する額を下回り、自己の主張する家賃額(13万円)の供託を継続した場合、債務不履行を理由に契約を解除され、建物明渡を要求される恐れがある。


 従って相談者は納得がいかないだろうが従前の家賃額を支払い、借地借家法32条3項に基づいて、家主に配達証明付き内容証明郵便で家賃の減額請求を行う。その後、簡易裁判所に民事調停を申し立てて正当な家賃を決定して貰う方法を考慮すべきである。


 (借賃増減請求権)
第32条 建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。


2 建物の借賃の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃を支払うことをもって足りる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額に年1割の割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない。


3 建物の借賃の減額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃の支払を請求することができる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払を受けた額が正当とされた建物の借賃の額を超えるときは、その超過額に年1割の割合による受領の時からの利息を付してこれを返還しなければならない。




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新規入居者の方が家賃が安い、 家賃の値下げが出来ないか  

2007/10/17 10:51

    隣室の家賃は我家より2万円安いので、
                  家賃の値下げを要求したいが


 (問) 15万円でマンションを賃貸し、2度更新しました。最近隣に入居した人の家賃は、広さ間取りも、内装のグレードも同じなのに13万円だと知り納得できません。今度の契約更新の際に家賃の減額を要求しようと思っています。


  (答) 現行家賃に納得がいかない場合、家主に対して家賃の減額を請求する手段はある。
 借地借家法32条に次のように規定している。
 「借主は、建物の税金・価格の減少、その他、経済事情の変動により、近隣家賃相場と比較して不相当になった時は、契約の条件に拘らず、家賃の減額を請求することが出来る」(32条1項の主旨)


 賃貸契約は家主と借主の一定の賃料で合意することで成立する。期間が経過し経済状況が変化すれば、継続家賃が近隣の家賃と比較して「不相当」になっているということは在り得る。その場合の、家賃の改定は、先ず当事者間の協議で決定するのが基本になる。


 しかし、家主が借主の減額要求に応じないで協議が調わなかった場合、借主は借地借家法32条に基づいて内容証明郵便で家賃減額の意思表示を明確にした上で、調停を申し立てる必要がある。調停で当事者間の合意が出来ない場合は裁判が必要になる。


 裁判になった場合は、適正家賃額を定めるための鑑定が必要となり、その費用として30〜35万円(双方で分担)程度の経済的負担を覚悟しなければならない。


 係争となった場合、賃借人は減額請求をし、減額を正当とする裁判が確定するまで、従前の家賃を支払う必要がある。一方的に減額した家賃しか支払わないのは危険である。不足額の支払いを請求され、家賃の一部不履行による契約解除、建物明渡しを要求される恐れがある東京地裁1998年5月28日判決)。


 後日、裁判で減額が確定した場合、払い過ぎがあれば、減額請求した日まで遡って、その差額に1割の利息をつけて返還を求める事が出来る。(借地借家法32条3項)


 賃料減額請求は、請求者の意思表示が相手方に到達した日の分から、その効果が生ずる最高裁1970年5月6日判決)。


 減額請求の起算日を確定するためにも減額請求は、内容証明郵便で配達証明付にする必要がある。


 結論、家賃改定は当事者間の話合いで合意するのが基本である。




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地代の増額請求に時効はあるのか

2007/10/12 10:44

  13年前に地代の値上げを請求されたが
     地代の増額請求に時効はないのか


 (問) 平成2年4月地主から大幅な地代(5月分から)の値上げを要求され、以来、地代を供託している。ところが、平成13年10月、地代の再値上げを通告され、加えて、平成2年5月分からの差額地代についても請求された。地代の増額請求に時効はないのでしょうか。




 (答) 増額請求権は形成権であるから貸主の増額する旨の一方的意思表示(増額の申入れ)が借主に到達した時に以後相当額に増額されたことになる(最高裁判昭36年2月24日判決


 地代家賃の増減請求権(借地借家法11条・32条)は、建物買取請求権、取消権、解除権等と同じく、請求権者が相手方に対して地代等を増減する旨の意思表示をすれば、相手方が承諾しなくても、値上げ値下げの効果が発生する権利である。


 形成権は権利者の一方的な意思表示によって法律関係の変動(発生・変更・消滅)を生じさせる権利であるという。形成権は一旦権利が行使されれば法律関係の変動生じ、それ自体消滅してしまう権利である。従って、権利の行使による中断ということは有り得ない。


 ところが、民法126条は、「取消権は、追認をすることができる時から5年間行使しないときは、時効によって消滅する」と書かれている。学説の多数は、形成権の期間制限の規定は時効期間ではなく除斥期間を定めているものとしている。


 除斥期間といのは、法律上、権利の行使や存続のために定められた一定期間をいう。権利行使期間という意味では、消滅時効期間と似ている。異なる点は、除斥期間の場合には当事者の援用を必要としない。もう1点は除斥期間には中断という制度がないことである。


 従って、裁判所は、除斥期間を過ぎていれば、当事者の援用がなくても、その権利は消滅したものとして裁判が出来る。


 地代・家賃の増減請求権は、条文上期間の制限がない。期間の定めのない形成権については、それぞれの権利の性質に応じた除斥期間に服するとされている。地代家賃等の賃借料は民法169条(定期給付債権の短期消滅時効)(註1)により5年で消滅時効になるので、増減請求権の除斥期間は5年となる。 即ち、貸主の値上げ請求の増加額分の請求権は5年で消滅する。


 (註1) 民法169条「年またはこれより短い時期によって定めた金銭その他のもの物の給付を目的とする債権は、5年間行使しないときは、消滅する。」


 このように賃料増減請求権の行使に時間的な制限を加えて期間の限定を設ける。これによって、権利を有しながら長期間無為に行使しない「権利の上に眠る」貸主に、請求権行使に5年という枠を嵌め、裁判制度を使って短期に問題解決の決断を促すという点ではメリットがある。


 しかし、最高裁の判例は形成権にも消滅時効は成立するとしている。形成権に関して、裁判例は期間5年を除斥期間ではなく、消滅時効期間という取扱いをしている。ここでは裁判例に従って消滅時効という見解で回答する。


 月払いの地代は民法169条にいう5年の短期消滅時効にかかりかつ、地代値上げ請求にかかる増加額についても所定の弁済期から消滅時効は進行を始める東京地裁昭和60年10月15日判決、判例時報1210号61頁以下)。 


 弁済期が定められた債権の消滅時効は弁済期が起算点になる(註2)。平成17年1月時点を例にすれば、賃料の支払いが後払いの毎月末日払いの場合、弁済期はその月の末日である。例えば、1月であれば、1月31日である。この場合の起算点は平成17年1月31日である。但し、民法上の期間を算定するとき(日、週、月又は年によって期間を定めた場合)は初日を算入しない(民法140条)ということであるから、平成17年2月1日(起算日)から時効は進行する。このように請求されている地代の増額分は、毎月、毎月5年前の分が次々と時効で消滅していく。


 (註2) 民法144条「時効の効力は、その起算日にさかのぼる。」


  結論、判例によれば、質問者の増額地代の差額分は平成13年10月の時点では、平成8年10月以前の分に関しては既に消滅時効が完成している。賃料債権は消滅したことになり、支払う必要はない。


 なお、時効の利益を受ける者は、消滅時効が成立したと主張する必要がある(註3)。これを時効の援用という。勿論、黙っていたのでは時効の利益を受けられない。そこで、証拠に残すためにも、内容証明郵便で時効の援用をする。内容は、「増額請求権は民法169条の短期消滅時効により平成8年10月以前の分に関しては既に消滅時効が完成し、賃料債権は消滅している。従って、消滅時効部分の支払請求には応じられない」という趣旨のことを書き、配達証明付きにして地主に送り届けておく。これで時効の援用と増額請求の支払拒否の通知は終了である。


 (註3) 民法145条「時効は、当事者が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。」


 援用の時期は何時までにしなければ、援用権が無くなるということはないが、要は債権者から請求があったときに援用すればいい訳である。勿論、裁判との関係で最終期限はある。第2審の口頭弁論終結までに時効を援用しなければならない(大審院大正7年7月6日判決)。



 (*)賃料増減請求権は5年で消滅時効が成立する大阪地裁平成12年9月20日判決・東京地裁昭和60年10月15日判決名古屋地裁昭和59年5月15日判決)と各々の地裁が判決している。


 


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適正な地代算出方法は

2007/09/04 08:28

   借地人にも地代の目安を簡単に計算する事が
                  出来る算定方法はあるのか


 (問) 適正な地代の算出方法はあるのか。


 (答) 地代の算定方式は法定されておらず、絶対的な算定方式というものは見当たらない。地代は当事者間の協議によって定めるのが原則であり、当事者間の合意額が適正地代であるというのが借地借家法の建前である。従って特段の事情がなければ地代は原則として公租公課を下回らない合意額であれば、それが適正地代であると言える。


  裁判では適正地代の算定方法として
 @スライド方式
 A積算方式
 B差額配分方式
 C賃貸事例比較方式
 D公租公課倍率方式等がある。


  だが、どれも一長一短で、万人が納得するような算定方式はないというのが現状である。裁判の実務では複数の方式によって求められた地代を総合的に検討する総合方式が定着している。


  しかし、借地人が簡単に地代の目安を算定出来るというのは前記の方式ではDであろう。地代と公租公課(固定資産税・都市計画税)の関係を統計調査して導きだされたもので東京23区の地代と公租公課の倍率は住宅地では概ね3倍前後で、商業地ではその2倍前後とされている。


  固定資産税等は都税事務所で申請すれば、固定資産税台帳の閲覧(コピー)及び評価証明書が交付される。そこに記載されている「固定資産税課税標準」に@固定資産税の場合は1.4%を、A都市計画税の場合は「課税標準の特例額」に0.3%を乗じれば、それぞれの年間税額が求められる。


  @とAの合算額を2〜3倍すれば地代の概算額が算定出来る。この方式は東京簡易裁判所の調停にも使用され、地代の調停は、住宅地では3.1倍前後、商業地では2.4倍前後で成立している。(参考


 次に同様な地代の目安になる算定方法は固定資産税課税標準額の3〜5%が年間の地代額といわれるものである。都内は平均4%で推移していると言われているので、課税標準額に4%を乗じたものが年間の地代額である。


 次の地代の概算方法は、地価(更地価格)に対する地代年額の割合で算定するものである。更地価格に住宅地の場合は0.8%を、商業地は1.35%を乗じたものが年間の地代というものである。
 これらの方法を参考にして長期間据え置きで割高になった地代を見直してみてはどうであろうか。


 

参考) 最高裁判所事務総局から1991年12月付で「民事調停の適正かつ効率的な運用に関する執務資料」が出されている。そこには「最終合意賃料が公租公課の2〜3倍に収まっているときは、加減要素として考慮しない。」と記載されている。言い換えれば、地代は固定資産税と都市計画税との合算の2〜3倍の範囲内であれば妥当と言える。



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地代相当額の算定に当たり、スライド法のみを採用した事例 

2007/07/19 08:20

 判例紹介


 地代相当額の算定に当たり、差額配分法及び利回り法採用せずにスライド法のみを採用した事例 ( 東京地裁平成9年2月4日判決、判例時報1623号96頁)


 (事実)
 地主は、昭和34年8月10日、豊島区池袋(以下略)の土地を、賃貸借期間30年、賃料1か月14000円、堅固建物目的で賃貸した。
 その後、賃料は順次増額され、称は55年以降1か月203000円、平成2年7月以降1か月452560円となった。
 そして、地主は、平成3年4月以降賃料を1か月497820円に増額請求し、その後、順次、平成4年4月以降同754500円平成5年3月以降同787600円、平成6年4月以降同879880円、平成8年4月以降同898012円に増額請求した。


 これに対し借地人は、従前額である1か月452560円を支払っていた。


 (争点)
 本件の争点は、各賃料増額請求時における相当賃料額はいくらかである。


 (判決要旨)
 裁判所は、賃料増額請求に対して、
 「利回り法は、賃料が前回(平成2年) の元本に対して一定の利回りにあることを基礎に、継続賃料を求める手法であるところ、この手法は、数年前の地価高騰時に求めた低い合意利回りを地価下落時の元本に乗じて継続賃料を求めるものであるから採用することが適当でない。


 また、差額配分法は、対象不動産の経済価値に即応した適正な実質賃料と実際支払賃料との間に発生している差額を貸主と借主に配分して試算賃料を求める手法であり、本件では、右実質賃料と各基準時の更地価格を基に算出している。


 ところで、正当な土地価格の変動を賃料に反映させることはそれなりに合理性があるが、一方、特に首都圏におけるバブル景気による投機的因子による地価の高騰と、その後の反動としてのバブル景気の崩壊による地価の下落は、土地の効用(収益力)の増額によって生じたものではなく、このような投機的価格部分に対応するものが相当賃料額に紛れ込むことを防止する必要がある。


 他方、スライド法は、純賃料を各種指数によってスライドし、これに公租公課を加算して求める手法で、継続賃料を求める手法としては適切なものといえ、本件では地代と関連性があると考えられる消費者物価指数家賃(区部)指数を採用しており、合理的なものであるといえる」とした。


 (短評)
 本件は、副都心池袋の高度商業地域における継続賃料相当額をどう算定するかが問題となった事案である。従来、差額配分法、利回り法、スライド法を総合して算定していたが、バブル景気とその崩壊に伴う地価の変動により、その手法が困難となり、結局、スライド法のみによる相当額の算定に当たって実務上参考となる判決である。  1998.4.


(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より





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地代の増額請求に対して5年の短期消滅時効を認めた事例

2007/06/22 09:33

  判例紹介


 月払いの地代は民法169条にいう5年の短期消滅時効にかかりかつ、地代値上げ請求にかかる増加額についても所定の弁済期から消滅時効は進行を始めるとして、提訴5年前までの賃料分に関する適正地代確認の訴を棄却した事例 東京地裁昭和60年10月15日判決、判例時報1210号61頁以下)


 (事案)
 地主Xは借地人Yに対し、土地を賃貸し、昭和43年6月当時賃料は月額2015円であった。
 Xは同43年、46年、48年、52年の各7月にそれぞれ賃料値上げ請求をし、更に55年8月と57年11月にも値上げ請求した。


 YはXによる右値上げ請求を争ったので、Xは同58年12月17日に、適正地代がXの値上げ請求金額であることの確認請求訴訟を提起した。


 Yは、抗弁として、本件賃料債権は月払いであるから、民法169条の5年の短期消滅時効にかかる。したがって、Xが提訴した同58年12月17日より5年前までに支払期日の到来している同53年11月までの賃料債権は、時効によって消滅した。故に消滅した分については適正地代額に確認を求める訴えは、利益がないから棄却すべきであると主張した。


 これに対し地主Xは、消滅時効は権利者が権利を行使しうるときから進行するところ、地代増額請求にかかる増加額について地主の権利行使が可能となるのは、増額を正当とする裁判が確定した時であるから、Yの消滅時効の主張は失当であるとして争った。


 (判旨)
 「本件賃料債権は、民法169条所定の債権に該当する。
 ところで、借地法12条2項は、賃料の増額につき当事者間に協議が調わないときは、増額の請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める賃料を支払えば足り、裁判が確定した場合に、すでに支払った額に不足があるときは、不足額に年1割の割合による支払期後の利息を付してこれを支払うことを要する旨規定する。


 右規定の趣旨は、賃料の増額請求があったときは、客観的に適正な賃料額に当然に増額の効果を生じ、賃借人はその額の支払義務を負うに至るのであるが、(中略)増額についての裁判が確定するまでの間は、賃借人は、自己が相当と認める賃料を支払う限り、遅滞の責を負わないものとしたのである。(中略)
 したがって、賃料債権自体は発生し、かつ、本来の賃料支払期日に履行期が到来しているものというべきである。


 賃貸人は、その支払を求める給付の訴又はその確定を求める確認の訴を提起して、消滅時効を中断することができ、又、給付判決が確定すれば強制執行をすることも妨げられないんであって、権利を行使するについて特段の障害があるものと解することはできない。
 したがって、右のような増額請求にかかる増加額についても、所定の弁済期から消滅時効が進行を始めるものと解するべきである。


 具体的な給付請求権が時効消滅した場合には、他に特段の必要のない限り、もはや確認の利益は失われるものと解すべきである。」と、5年前までの請求を棄却した。   1987.03.


(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

地代の増額請求で今回と同様に消滅時効が認められた判例(名古屋地裁昭和59年5月15日判決


  民法
 (定期給付債権の短期消滅時効)
第169条
 年又はこれより短い時期によって定めた金銭その他の物の給付を目的とする債権は、5年間行使しないときは、消滅する。




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地代を固定資産税及び都市計画税の2.4倍とする約定を認めた事例

2007/06/16 09:45

判例紹介


 1、最近における固定資産税の増徴にかかわらず土地の賃料を固定資産税及び都市計画税の税額の2.4倍とする約定が合理性を失わない。
 2、土地の固定資産税の評価額は土地の収益力を資本還元した収益還元価格を超えることはできない。 
(東京高裁平成9年6月5日判決、判例タイムズ940号280頁以下)


 (事案の概要)
 東京銀座の土地(借地)上にある建物の増額請求を求める賃料の確認訴訟。家主は従前の賃料が近隣の賃料と比較して低額であるとして、最近における固定資産税等の増額に伴い、建物敷地の地代額が急激に上昇したため、家主が建物の賃料に転嫁しようとして大幅な賃料の増額を求めていた。一審判決は不動産鑑定の結果をそのまま採用したが、家主はこれを不服治して控訴していた事案。


 家主は、従前の賃料近隣に比較して低く、同一建物の他の貸室の賃料の5分の1に過ぎないことを一審の鑑定は無視していること、鑑定による増額後の賃料でも、家主は高騰した地代を含む経費を支払えば損失が出ること等を理由に鑑定は採用すべきでないと主張した。


 一方、借主は、最近のように固定資産税等が急激に上昇している状況のもとでは、土地の地代を固定資産税額の2.4倍とする土地所有者と借地人である家主との間の約定は、合理性を失っており、その効力はないから家主は土地所有者に対して右倍率による地代を支払う義務はないと争った。そこで右地代改定の約定の効力が争点となった事案である。


 (判旨)
 「もともと土地の固定資産税等は、土地の所有者がその土地を相当な地代で他に賃貸するなど、これを有効利用している場合にはその土地からあげることの可能な(実際に上げているということでない。)収益(賃貸の場合で権利均等の授受がなけれ賃料)の範囲内において、その一部を納税資金に充てることにより、納税することが可能であることを前提として算出される仕組みとなっている。


 すなわち固定資産税の標準税率の合計は1.7%となっているが、この税率は土地からあがる収益が固定資産税評価額のおおよそ5%程度であると想定し……その約5%の収益の内、約3分の1の1.7%を税金として徴収するという、大きな枠組未を前提として算定されている。


 ……最近における固定資産税評価の評価が土地の収益を過大に評価し収益力に見合う金額(程の収益還元価格)を上回る違法なものであるならば格別、そうでない限り固定資産税等の金額を2.4倍した金額を地代とする旨の当事者間の合意は合理性を失っていないのであって、その努力を否定するものとはいえない


 (寸評)
 判旨は税金の2.4倍を適正としているが、固定資産税の法的性質や税率の在り方など税法、税政策をほり下げたところから考えなければならない問題を含んでおり、この判決の基本認識の是非について検討する必要がある。    1997.11.


(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より




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