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2004年度の宅建問題(借地借家法関係) 

2008/02/29 00:44

  転借人の賃料支払義務・転借人の保護
 〔問13〕 AはBに対し甲建物を月20万円で賃貸し,Bは,Aの承諾を得た上で,甲建物の一部をCに対し月10万円で転貸している。この場合,民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば,誤っているものはどれか。


 1 転借人Cは,賃貸人Aに対しても,月10万円の範囲で,賃料支払義務を直接に負担する。


 2 賃貸人Aは,AB間の賃貸者契約が期間の満了によって終了するときは,転借人Cに対しその旨の通知をしなければ,賃貸借契約の終了をCに対し対抗することができない。


 3 AB間で賃貸借契約を合意解除しても,転借人Cに不信な行為があるなどの特段の事情がない限り,賃貸人Aは,転借人Cに対し明渡しを請求することはできない。


 4 賃貸人AがAB間の賃貸借契約を賃料不払いを理由に解除する場合は,転借人Cに通知等をして賃料をBに代わって支払う機会を与えなければならない。


 〔問13〕 正答率は54.5%



 賃料増減額請求とサブリース契約
 〔問14〕 貸主A及び借主Bの建物賃貸借契約に関する次の記述のうち,賃料増減請求権に関する借地借家法第32条の規定及び判例によれば,正しいものはどれか。


  1 建物が完成した時を始期とする賃貸借契約において,建物建築中に経済事情の変動によってAB間で定めた賃料が不相当になっても,建物の使用収益開始前にBから賃料減額請求を行うことはできない。


 2 AB間の建物賃貸借契約が,Bが当該建物をさらに第三者に転貸する事業を行ういわゆるサブリース契約である場合,使用収益開始後,経済事情の変動によってAB間で定めた賃料が不相当となっても,Bから賃料減額請求を行うことはできない。


 3 Bが賃料減額請求権を行使してAB間に協議が調わない場合,賃料減額の裁判の確定時点から将来に向かって賃料が減額されることになる。


 4 Aが賃料増額請求権を行使してAB間に協議が調わない場合,BはAの請求額を支払わなければならないが,賃料増額の裁判で正当とされた賃料額を既払額が超えるときは,Aは超過額に年1割の利息を付してBに返還しなければならない。


 〔問14〕の正答率は26.6%



  【正解】 〔問13〕 1〔0〕  2〔0〕  3〔0〕  4〔×〕       


 
  【正解 〔問14  1〔0〕  2〔×〕  3〔×〕  4〔×〕


 


 〔問13〕の解説 
 1、賃貸人の承諾を得て転貸借(民法612条)がなされたとき,転借人は,賃貸人に対して直接に義務を負う。転借人は,賃借人が払うべき賃料等の支払や明渡し義務,目的物保管義務などを負うことになる(民法613条1項)。 この結果,賃貸人は,賃借人・転借人どちらにも賃料を請求することが出来る。
 転借人は賃借人の負担する以上の義務を負わない。転借人は転貸借契約で定められた賃料の額の範囲で賃借人の支払義務を負うだけでけである。従って、転借人の義務は,賃借人<転貸人>に対して負う義務の範囲を超えることはないので,転借人Cは,賃貸人Aに対しても,月10万円の範囲で,賃料支払義務を直接に負担すればよい。従って、1、は正しい。


 2、賃貸人の承諾を得て転貸借がされている場合に,期間の定めのある賃貸借が期間の満了〔期間の定めの。ない賃貸借では解約の申入れ〕によって終了するときは,賃貸人は転借人にその旨の通知をしないと,賃貸借の終了を転借人に対抗出来ない借地借家法34条1項)。
 賃貸人が転借人に,賃貸借が終了する旨を通知したときは,その通知がされた日から6月を経過することによって転貸借も終了する借地借家法34条2項)。従って、2、は正しい。


 3賃貸人と賃借人とが賃貸借契約を合意解除しても,特段の事情がない限り,賃貸人は転借人に対してこの合意解除の効果を主張できない(最高裁・1987年3月24日判決) 従って,賃貸借の合意解除による賃貸借終了によって,明け渡し請求をすることは出来ないので3、は正しい。


 4、判例では,賃料の延滞を理由に賃貸借を解除するには,賃貸人は賃借人に催告するだけで足り、転借人に支払いの機会を与える必要はない,としている(最高裁・1997年2月25日判決)。従って、4、は間違っている。


 〔問14〕の解説


 1、建物の賃料が経済事情の変動等で不相当になったときは,一定期間は増額しない旨の特約がある場合を除いて,契約の条件に係らず,当事者は,将来に向かって賃料の額の増減を請求することができます(借地借家法・32条1項)。
 最高裁は,サブリース契約の事例で,<建物の使用収益の開始前には,賃料減額請求はできない>と判示しました(最高裁・2003年10月21日)。従って、1、は正解である。


 2、最高裁は,「(建物での)サブリース契約には,借地借家法32条1項の当事者からの増減額請求の規定が適用され得る。」と判示し(最高裁・2003年10月21日判決。従って、2、は間違いである。


 3、賃料減額の裁判が確定したときは,その効力は,減額請求の意思表示が相手方に到達した時に遡って生じます借地借家法・32条1項)。従って,「賃料減額の裁判の確定時点から将来に向かって賃料が減額される」は間違いである。


 4、貸主が賃料増額請求権を行使して協議が調わない場合,借主は,増額を正当とする裁判が確定するまでは,相当と認める額の賃料を支払えば足り,貸主の請求してきた賃料を支払う必要はない借地借家法・32条2項)。借主は従前と同じ賃料を支払っていれば問題は起きない。従って、4、は間違いである。 




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2003年度宅建問題(借地借家法関係)

2008/02/28 10:16

  敷金の承継
 〔問11〕 借主Aは,B所有の建物について貸主Bとの間で賃貸借契約を締結し,敷金として賃料2ヵ月分に相当する金額をBに対して支払ったが,当該敷金についてBによる賃料債権への充当はされていない。この場合,民法の規定及び判例によれば,次の記述のうち正しいものはどれか。



  1 賃貸借契約が終了した場合,建物明渡しと敷金返還とは同時履行の関係に立たず,Aの建物明渡しはBから敷金の返還された後に行えばよい。



  2 賃貸借契約期間中にBが建物をCに譲渡した場合で,Cが賃貸人の地位を承継したとき,敷金に関する権利義務は当然にCに承継される。



  3 賃貸借契約期間中にAがDに対して賃借権を譲渡した場合で,Bがこの賃借権譲渡を承諾したとき,敷金に関する権利義務は当然にDに承継される。



 4 賃貸借契約が終了した後,Aが建物を明け渡す前に,Bが建物をEに譲渡した場合で,BE間でEに敷金を承継させる旨を合意したとき,敷金に関する権利義務は当然にEに承継される。



   〔問11〕正答率は72.7%





借地権の対抗要件、譲渡の代諾許可
〔問13〕 Aが,Bに,A所有の甲地を建物の所有を目的として賃貸し,Bがその土地上に乙建物を新築し,所有している場合に関する次の記述のうち,借地借家法の規定によれば,誤っているものはどれか。



 1 Bが,乙建物につき自己名義の所有権の保存登記をしている場合は,甲地につき賃借権の登記をしていないときでも,甲地をAから譲渡され所有権移転登記を受けたCに対し,甲地の賃借権を対抗できる。



  2 乙建物が滅失した場合でも,Bが借地借家法に規定する事項を甲地の上の見やすい場所に掲示したときは,Bは,甲地に賃借権の登記をしていなくても,滅失のあった日から2年間は,甲地をAから譲渡され所有権移転登記を受けたDに対し,甲地の賃借権を対抗できる。



  3 Bが,乙建物をEに譲渡しようとする湯合において,Eが甲地の賃借権を取得してもAに不利となるおそれがないにもかかわらず,Aがその賃借権の譲渡を承諾しないときは,Bは,裁判所にAの承諾に代わる許可をするよう申し立てることができる。



 4 Bが,乙建物を1年以上自己使用しておらず,かつ,他人に譲渡しようとすることもない場合,Aは,裁判所に,相当の対価の提供を条件として,自ら乙建物の譲渡及び甲地の賃借権の譲渡を受ける旨を申し立てることができる。



   〔問13〕の正答率は51.7%





 定期借家契約
 〔問14〕 平成15年10月に新規に締結しようとしている,契約期間が2年で,更新がないこととする旨を定める建物賃貸借契約(以下この問において「定期借家契約」という。 )に関する次の記述のうち,借地借家法の規定によれば,正しいものはどれか。



 1 事業用ではなく居住の用に供する建物の賃貸借においては,定期借家契約とすることはできない。



 2 定期借家契約は,公正証書によってしなければ,効力を生じない。



  3 定期借家契約を締結しようとするときは,賃貸人は,あらかじめ賃借人に対し,契約の更新がなく,期間満了により賃貸借が終了することについて,その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。



 4 定期借家契約を適法に締結した場合,賃貸人は,期間満了日1ヵ月前までに期間満了により契約が終了する旨通知すれば,その終了を賃借人に対抗できる



    〔問14〕正答率は85.9%





 正解  〔問11〕 1〔×〕  2〔0〕  3〔×〕  4〔×〕



      〔問13〕  1〔0〕  2〔0〕  3〔0〕  4〔×〕



      〔問14〕  1〔×〕  2〔×〕  3〔0〕  4〔×〕




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2002年度宅建問題(借地借家法関係)

2008/02/27 00:28

 建物買取請求権
〔問13〕 Aが,平成4年8月,Bに土地を賃貸し,Bがその土地上に建物を所有している場合の契約終了に伴う建物買取請求権に関する次の記述のうち,借地借家法の規定及び判例によれば,誤っているものはどれか。

   AB間の借地契約が,公正証書により10年の事業専用の目的で締結された場合には,Bは建物買取請求権を有しない。



  建物買取請求権は,契約終了の理由を問わず,Bの債務不履行を原因とする契約終了の場合にも,BはAに対して建物の買取りを請求することができる。



   BがAの承諾を得て土地をCに転貸し,建物を譲渡した場合,AB間,BC間の契約が,ともに期間満了し更新がなければ,CはAに対し直接建物買取請求権を有する。



   Bが適法にAに建物買取請求権を行使すると,その所有権は直ちにBからAに移転するが,BはAが代金を支払うまで,建物の引渡しを拒むことができる。





 法定更新
 〔問14〕 建物賃貸借契約(以下,この問において「契約」という。)の終了に関する次の記述のうち,借地借家法の規定によれば,正しいものはどれか。

  期間の定めのある建物賃貸借において,賃貸人が,期間満了の1年前から6月前までの間に,更新しない旨の通知を出すのを失念したときは,賃貸人に借地借家法第28条に定める正当事由がある場合でも,契約は期間満了により終了しない。

  期間の定めのある建物賃貸借において,賃貸人が,期間満了の10月前に更新しない旨の通知を出したときで,その通知に借地借家法第28条に定める正当事由がある場合は,期間満了後,賃貸人が使用を継続していることについて,賃貸人が異議を述べなくても,契約は期間満了により終了する。

  3 期間の定めのある契約が法定更新された場合,その後の契約は従前と同一条件となり,従前と同一の期間の定めのある賃貸借契約となる。

   期間の定めのない契約において,賃貸人が,解約の申入れをしたときで,その通知に借地借家法第28条に定める正当事由がある場合は,解約の申入れの日から3月を経過した日に,契約は終了する。



 



 〔問13〕 正解  1〔0〕   2〔X〕  3〔0〕  4〔0〕  正答率70.6%



  〔問14〕 正解  1〔0〕  2〔X〕  3〔X〕  4〔X〕  正答率66.3%



  〔問13〕の解説
 1 事業用定期借地権では,更新や再築の規定(3条〜8条,18条),借地権者の建物買取請求権(13条)は適用しないとされています〔借地借家法24条1項〕従って、1正しい



  判例では一貫して、債務不履行による契約解除で契約が終了したときは,借地人は建物買取請求権を否定している(最高裁1960年2月9日判決)。従って、誤っている



  問題文から、この借地契約が借地借家法施行(平成4年8月)に締結されていることに注目したい。建物買取請求権の規定は,借地権の存続間が満了した場合での転借地権者(転借人)と借地権設定者(土地の所有者)との間にも準用されており,転借人は土地の所有者に対し直接,建物買取請求をすることができる〔借地借家法13条3項〕。従って、3正しい



 但し借地契約が借地借家法施行(平成4年8月)に締結されている場合は、(建物買取請求権に関する経過措置)附則第9条2項 により「第13条第3項の規定は、この法律の施行前に設定された転借地権については、適用しない」ということなので注意したい。



  賃貸人が代金を支払うまで土地・建物の引渡しを拒むことはできるが,賃貸借契約期間終了後の土地の地代相当分は不当利得となるのでその分は返還しなければならない(最高裁1960年9月20日判決)。従って正しい





 〔問14〕の解説



 1 期間の定めのある賃貸借において,賃貸人が,賃貸借期間満了の1年前から6月前までの間に,賃借人に対して,「更新拒絶の通知」または「条件を変更しなければ更新しない旨の通知」をしなかったときは,期間を除いて従前の契約と同一の条件で,契約を更新したものとみなされる。また,この法定更新後の賃貸借は期間の定めがのないものとする〔借地借家法26条1項〕。従って1正しい



  賃貸人が,賃貸借期間満了の1年前から6月前までの間に,賃借人に対して,正当事由のある「更新拒絶の通知をしたとしても,期間満了後に賃借人が建物の使用を継続していた場合は,賃貸人は遅滞なく異議を述べないと法定更新されることになる〔借地借家法26条2項〕。従って、誤っている



  法定更新されると,更新後の契約は,期間を除いて従前と同一の契約条件で,期間の定めのない賃貸借になる〔借地借家法



 4 期間の定めのない建物の賃貸借では,賃貸人・賃借人ともいつでも解約の申入れをすることができるが,

 




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 但し、賃借人からの解約申入れの場合は民法617条が適用され,解約の申入れから3月が経過することによって終了します。(民法617条1項2号)。従って、誤っている

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2001年度宅建問題(借地借家法関係)

2008/02/26 10:45

 旧・借地法の経過措置
 〔問12〕
 Aは,昭和46年(西暦1971年)8月,Bから,その所有地を,建物の所有を目的として存続期間30年の約定で賃借し,その後A所有の建物を同土地上に建築し,A名義の所有権保存登記をしてきた。この場合,借地借家法の規定によれば,次の記述のうち正しいものはどれか。


   平成13年(西暦2001年)8月の契約更新時に,AB間の合意により,更新後の存続期間を10年と定めることができる。


  2 平成13年8月の契約更新時に,AB間の合意により,今回の更新は旧借地法によるものとするが,次回以降の更新は借地借家法本則によるものとする旨定めることができる。


  Aは平成1 2年7月に再築のため建物を取り壊し,土地の上の見やすい場所に<旧建物を特定するために必要な事項,取り壊した日,建物を新たに築造する旨>を掲示した。この掲示が存続していれば,建物が未完成でも,平成13年8月時点で,Aは本件借地権を第三者に対抗できる。


  平成13年8月の契約更新後,更新期間満了前に,本件借地上のA所有建物が朽廃した場合,本件借地権は消滅しない。


 



  減額請求権
〔問13〕 賃貸人A(個人)と賃借人B(個人)との間の居住用建物の賃貸借契約に関する次の記述のうち,借地借家法の規定及び判例によれば,誤っているものはどれか。


  1 Bが家賃減額の請求をしたが,家賃の減額幅についてAB間に協議が調わず裁判になったときは,Aは,その裁判が確定するまでの期間は,Aが相当と認める金額の家賃を支払うようにBに請求できる。


  Bが家賃減額の請求をしたが,家賃の減額幅についてAB間に協議が調わず裁判になったときは,その請求にかかる一定額の減額を正当とする裁判が確定した時点以降分の家賃が減額される。


  家賃が,近傍同種の建物の家賃に比較して不相当に高額になったときは,契約の条件にかかわらず,Bは,将来に向かって家賃の減額を請求することができる。


  AB間で,3年間は家賃を減額しない旨特に書面で合意した場合,その特約は効力を有しない。


 


  〔問12〕 正解  1(X)  2(X)  3(0)  4(X)


  〔問13〕 正解  1〔0〕  2(X)  3(0)  4(0)


  〔問12〕の解説
 1 この問題での借地権は、現行の借地借家法の施行日(平成4年8月1日)よりも前に、当時の借地法に基づいて設定されているため、更新については旧法の借地法が適用される(借地借家法・附則6条)


 更新後の存続期間は、堅固な建物は30年、その他の建物は20年(借地法5条1項、4条3項)。ただし、契約でこれより長い期間を定めたときは、その期間(借地法5条2項)となる。


 このため、10年という更新後の存続期間は、借地権者には不利な特約となるため、借地法11条の規定により存続期間10年と定めたとしても無効になり、更新後の存続期間の定めがなかったことになる。従って、堅固な建物所有目的の借地権の場合は30年、非堅固な建物所有目的の借地権の場合は20年と法定される。従って、1は間違っている。


  (借地契約の更新に関する経過措置) 第6条この法律の施行前に設定された借地権に係る契約の更新に関しては、なお従前の例による借地借家法・附則6条)


 仮に、当事者の合意があっても、旧法の借地法施行時の借地契約を更新しない旨の特約を結び、新たに借地借家法を適用させることは、借地法の更新の規定に違反する特約となり、その特約は無効になる。従って、間違っている。


 3 借地借家法 第10条(借地権の対抗力等)
 1 借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる。


 2 前項の場合において、建物の滅失があっても、借地権者が、その建物を特定するために必要な事項、その滅失があった日及び建物を新たに築造する旨を土地の上の見やすい場所に掲示するときは、借地権は、なお同項の効力を有する。ただし、建物の滅失があった日から2年を経過した後にあっては、その前に建物を新たに築造し、かつ、その建物につき登記した場合に限る。


 ※「建物を特定するために必要な事項」とは,建物の所在・家屋番号・種類・構造・床面積・所有者などの登記での表示事項と解されている。従って、滅失した建物に登記がある場合に限られる。


  登記をしていれば,掲示を見た人は登記所〔法務局〕で,閉鎖登記簿〔建物の滅失登記をしていた場合〕または滅失した建物の従前の登記〔建物の滅失の登記をしていない場合〕を閲覧することによって建物が存在していたことを確認できるからでる。従って、は正しい。


  借地期間を当事者間の合意の上で有効な存続期間(堅固建物のは30年以上、非堅固建物は20年以上)をと定めた場合は、建物が朽廃しても借地権は消滅しない
 しかし、最初の存続期間、更新後の存続期間のどちらでも、当事者間で有効な存続期間の定めをしていない場合は、建物が朽廃すれば、借地権は消滅する。 


 即ち、@更新後の存続期間に定め自体がそもそもない場合或はA更新後の存続期間に定めがあっても堅固な建物所有のときは30年未満、非堅固な建物所有目的のときは20年未満の場合、このような場合は、期間の定めは無効になり、更新後の存続期間の定めのないものとして堅固な建物所有のときは30年、非堅固な建物所有目的のときは20年に法定される。従って、このような場合〔法定更新も含まれる〕は期間満了前に建物が朽廃すれば、借地権は消滅する。


 問題文では「契約更新後」と書かれているだけで、有効な存続期間を定めた場合なのか、無効な存続期間の定めた場合なのかは判然としない。従って、無効な存続期間の定めた場合であれば、建物が朽廃すれば、借地権は消滅するのでは誤りである


  〔問13〕の解説


  借賃の減額請求について協議が調わず裁判になったとき,賃貸人は,その裁判で減額が確定するまでの期間は,賃貸人自身が「相当と認める額」の家賃を支払うように賃借人に対して請求することができる(借地借家法32条3項)。


 家主が「相当と認める額」に関しては、東京地裁1998年5月29日判決で「裁判が確定までの間は賃借人には『賃貸人が相当と認める額』の賃料支払義務がある」として、その賃料は「特段の事情のない限り、従前の賃料と同額であると推定することが相当である」としている。 


 この規定があるにもかかわらず,賃貸人の請求金額を支払わずに,賃借人が自分が相当と認める額〔賃貸人の請求額より少ない額〕を支払い続けた場合は,借賃不払いによる解除裁判所により認められる場合がある。従って、1正しい。


  裁判で減額が確定し,既に支払いを受けた建物の借賃の額が正当とされた借賃の額を超えているときは,賃貸人は,その超過額に年1割の受領の時からの利息をつけて返還しなければならない(借地借家法32条3項但書)。


 受領の時からの超過額・利息というのは,「賃料減額請求は、請求者の意思表示が相手方に到達した日の分から、その効果が生ずる」最高裁1970年5月6日判決)ということで減額請求の意思表示をした時からのものなので「減額を正当とする裁判が確定した時点以降分の家賃が減額」というのは誤りである


 3  建物の借賃が, 土地・建物に対する租税その他の負担の増減により,土地・建物の価格の上昇・低下その他の経済事情の変動により,近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは, 契約の条件にかかわらず, 当事者〔賃借人・賃貸人〕は,将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができます〔借地借家法32条1項〕。従って、正しい。


  建物の借賃が不相当になったときは,契約の条件にかかわらず減額請求することができ,仮に家賃を減額しない旨の書面での特約があったとしても,減額請求権を排除することは出来ない。従ってこの減額請求権を排除する特約は無効である。従って、正しい。
 
但し、当事者間に「一定の期間借賃を増額しない旨の特約がある場合は有効であり,事情が変更したとしても,原則としてその期間は賃料の増額を賃貸人は請求することができない(借地借家法32条1項但書)。 
 




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2000年度宅建問題(借地借家法関係)

2008/02/25 00:36

  建物譲渡特約付借地権・法定借地権
 〔問11〕 Aを賃借人,Bを賃貸人としてB所有の土地に建物譲渡特約付借地権を設定する契約 (その設定後30年を経過した日に借地上の建物の所有権がAからBに移転する旨の特約が付いているものとする。) を締結した場合に関する次の記述のうち,借地借家法の規定によれば,誤っているものはどれか。


   本件契約における建物譲渡の特約は,必ずしも公正証書によって締結する必要はない。


  2 Aの借地権は,その設定後30年を経過した日における建物譲渡とともに消滅し,本件契約がABの合意によらずに法定更新されることはない。


  建物譲渡によりAの借地権が消滅した場合で,Aがその建物に居住しているときは,Aは,直ちに,Bに対して建物を明け渡さなければならず,賃借の継続を請求することはできない。


   Cが,建物をAから賃借し,Aの借地権消滅後もそこに居住している場合で,Bに対して賃借の継続を請求したときは,一定の場合を除き,BC間に期間の定めのない建物賃貸借がされたものとみなされる。
 


 


 借家権 転貸借・借地上の建物賃貸借
 〔問12〕 Aが,B所有の建物を賃借している場合に関する次の記述のうち,借地借家法の規定によれば,正しいものはどれか。


  1 Aが,建物に自ら居住せず,Bの承諾を得て第三者に転貸し,居住させているときは,Aは,Bからその建物を買い受けた者に対し,賃借権を対抗することができない。


  Aが建物を第三者に転貸しようとする場合に,その転貸によりBに不利となるおそれがないにもかかわらず,Bが承諾を与えないときは,裁判所は,Aの申立てにより,Bの承諾に代わる許可を与えることができる。


   建物の転貸借がされている場合 (転借人C) において,AB間の賃貸借が正当の事由があり期間の満了によって終了するときは,Bは,Cにその旨通知しないと,Aに対しても,契約の終了を主張することができない。


  Bの建物がDからの借地上にあり,Bの借地権の存続期間の満了によりAが土地を明け渡すべきときは,Aが期間満了をその1年前までに知らなかった場合に限り,Aは,裁判所に対し土地の明渡しの猶予を請求することができる。


 


  〔問11〕 正解  1〔0〕  2(0)  3(X)  4(0)


  〔問12〕 正解  1〔X〕  2(X)  3〔X〕  4(0)


  〔問11〕の解説
 1 建物譲渡特約付借地権の設定は、公正証書もしくはその他の文書による必要はなく、口頭による契約でもよいとされている(借地借家法23条1項)。 この公正証書等の書面で締結しなくてもよいというのが、一般定期借地権事業用借地権の契約とは異なるところである。従って、1 は正しい。


 2 建物譲渡特約付借地権は契約期間が満了すると、借地権は借地権設定者への建物の譲渡されると共に消滅する。。このため、当事者の合意によらずに法定更新されることはない(借地借家法23条1項)。従って、2 は正しい。


 3 建物譲渡特約付借地権が消滅した場合、借地権者または建物の賃借人建物の使用を継続しているもが請求したときは、賃借の継続を請求することが出来る(借地借家法23条2項、3項、38条1項)。
 
この規定は、請求した「借地権者または建物の賃借人」を保護するためのものであり、建物の借賃は、当事者間で定まらない場合は、当事者の請求により、裁判所が定める。従って、3 は誤っている。


 4 借地権の消滅後の賃貸の継続の請求(法定借家権)は、 請求のときに、請求した「借地権者または建物の賃借人と借地権設定者との間で、一定の場合を除き期間の定めのない建物賃貸借がされたものとみなされる(借地借家法23条2項、3項、38条1項)。従って、4 は正しい。


 〔問12〕の解説
 1 建物の賃貸借は、建物の引渡しを受けていれば、登記がなくても対抗要件になる(借地借家法第31条1項)。従って、1 は誤っている。


 2 借地権では、賃借人がその建物を他人に譲渡する場合に、賃借権の譲渡または転貸を拒む地主の承諾に代わって裁判所が許可をすることができる(借地借家法19条1項)という制度があるが、建物の賃貸借では貸主の承諾に代わる裁判所の許可はない。従って、2 は誤っている。


 3建物の転貸借がされている場合において、建物の賃貸借が期間満了によって終了するときは、建物の賃貸人は転借人にその旨を通知しなければ、その終了を転借人に対抗出来ない(借地借家法34条1項)。 しかし,賃貸人Bが賃借人Aに期間満了の主張をするのは、転貸借とは別の話であり、当該通知をCにまだしていないからといって契約の終了をAに主張できないと言うことはない。従って、3 は誤っている。


 4 借地上の建物の賃借人の保護を図るために、借地借家法では、「借地上の建物の賃借人が借地権の存続期間満了をその1年前までに知らなかった場合に限り、その建物の賃借人は、裁判所に対し、土地の明渡しの猶予を請求することができる。また、裁判所は、建物の賃借人がこれを知った日から1年を超えない範囲内で、その土地の明渡しについて相当の期限を許与することができる。」(借地借家法35条1項)とされている。
 裁判所が期限の許与をしたときは、建物の賃貸借はその期限が到来することによって終了する(借地借家法35条2項)。


 借地上の建物の賃借人の保護の規定(35条1項)は,普通借地権で借地期間が満了するときに,借地権者が建物買取請求権を行使せずに建物を収去する場合に適用される。従って、4 は正しい。 



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地主と借地権を巡るトラブルが引き金か 東京足立一家4人死傷事件

2008/02/23 01:43

  2008年2月11日、東京都足立区梅田2丁目の機械修理・販売業佐々木亨さん(52)が自宅で妻和子さんら家族3人を死傷させ、自殺したとされる事件(佐々木さんのほか妻和子さん(49)と母得子さん(85)が遺体で発見され、次男(15)も両手首を切断するなどの重体であったが、意識は戻ったという)で、佐々木さんが書いたとみられる手紙が日本テレビ(東京都港区)とテレビ朝日(同)に届いていたことが14日分かった。無理心中をにおわせているが、不動産トラブルに巻き込まれたことを示唆する内容があった。 


 日本テレビによると、手紙は宅配便で2月14日の日付指定で届いた。この手紙などが宅配便業者に持ち込まれたのは、佐々木さん方から血が流れ出ているのが発見される1時間弱前の2月11日午後2時45分頃だった。送り主の欄には佐々木さんの名前が記され、 佐々木さん方の土地の借地権売買に関する書類も同封されていたという。

 手紙には「欲に目が眩んだ自分の責任です」「母親には車イスで生活できる家を、(妻の)和子には好きな洋裁をする家を、子供達には自分の部屋をプレゼントしたかった。全部無くしてしまいました。死んでお詫びします」などと手書きされ、「佐々木亨」と署名があった。

 また、。「宅建業者に騙されたという思いもあります」、「二度と私のようなバカを出さない為にも調べて頂けないでしょうか」などと取材を求める内容だった。


 事業不振であえぐ中、佐々木家に降って湧いたのが、自宅などの借地権の売却話だった。

 マンション建設計画で周辺の土地を買い進めていた都内の不動産会社が去年10月頃、亨さんに借地権の売却を打診。相場は2500万円程度だったが、亨さんは「4500万円ほしい」。その希望に沿うために、不動産会社は日光街道を挟んだ自宅向かいの倉庫の借地権も購入することにして、2月5日、約4800万円で売買する契約を結んだ。

 地主への借地権譲渡承諾料に必要な約300万円を除く、約4500万円が手に入ることになり、2月5日には約400万円の手付金も支払われていた。立ち退きをしたときに残金が支払われることになっていた。

 佐々木さんは担当者に「これで仕事を辞める踏ん切りがついた」とすっきりした様子で語ったといい、「和子さんも得子さんも手をたたかんばかりに喜んでいた」と会社関係者は言う。



 しかし、借地権の売却は暗転する。

 地主が佐々木さんを訪ねたとされる2月8日頃には、近所の人が佐々木さん方から「分かってるんだろう」という男性の怒鳴り声を聞いている。


 佐々木さんは事件3日前の2月8日、不動産会社に電話し、悲痛な声で訴えた。

 「倉庫の地主が売買を認めてくれない」、「借地契約を解除されてしまう」と怯えた様子で相談したという。 

 関係者によると、2月6日、不動産会社が倉庫の地主に契約成立を手紙で通知すると、8日朝に地主が、佐々木さん方を訪れ、「借地の更新料の問題も解決していないのに、そんな(借地権売買)契約は認めない」」と怒鳴り込み、「借地権譲渡の承諾をしない」と告げたという。


 佐々木家と地主には確執があった。佐々木亨さんの父親が生前、借地の更新料を巡り、この地主とトラブルになった。その後、地代の値上げ問題で再びトラブルになり、地主は佐々木さんからの地代の受領を拒否したので、平成8年から継続して法務局に地代を供託している。


 佐々木さんは不動産会社に電話で相談し、契約の有効性を確認した。電話を受けた不動産会社の担当者は、仮に地主の承諾が得られなくても、裁判所の許可で借地権を売却できることを説明し、「大丈夫ですよ」と励ました。

 佐々木さんは怯えきった様子で、このときの電話が亨さんと不動産会社側の最後のやり取りになったという。


 警視庁の調べでは、亨さんには約2000万円の預貯金があり、犯行前にその一部を預けた口座の通帳を姉に渡していた。事業は行き詰まっていたものの、金銭的な余裕はあったとみられ、借地権の売買をめぐる悩みが動機となった可能性もあるとみられている。また、使われたナタは事件数日前に佐々木さんが購入していたもので、覚悟を決めたうえで計画的に事件に及んだとみている。


...........................................................................................................................................................................................


 以上が報道されている内容を纏めてみたものである。


 報道されている内容(不動産会社に「借地契約を解除されてしまう」と怯えた様子で相談したいていること及び「全部無くしてしまいました」と書いていること)から佐々木さんが借地権売買契約をしたこに対して、地主が不動産会社への借地権売買契約は「無断譲渡だから借地契約を解除する。建物を取壊して即刻、土地を明渡せ」と脅したものと推察される。


 地主の主張する法律的根拠は以下のようになる。
 借地権を第三者に譲渡するときは、借地契約書に「借地権の譲渡には必ず地主の事前承諾を要する」との条項が記載されていなくても地主の承諾は必要である(民法612条1項)。
 地主の承諾を得ないで借地権を第三者に譲渡した場合、地主は借地契約を解除することができる(民法612条2項)。


 だが、報道されている内容では、借地権の売買契約を締結し、手付金400万円の支払いを受けたという状態では借地権の無断譲渡には該当しない(下記の(*)を参照)。従って、民法612条を根拠に地主がいくら強硬に主張しようと借地の契約解除・土地明渡の問題は発生しない。


 直ぐに裁判所に「借地借家法19条」に基づく「譲渡承諾の非訟手続」をしていれば、何ら問題が起こらないで済んでしまった筈である。


 どういうことかというと、借地権が第三者に譲渡されても地主に不利益がないのに地主が飽くまで承諾しないときは「借地借家法19条」の規定により裁判所に対して「地主の承諾に代わる譲渡許可」の申立をすれば、地主が承諾を拒み続けても裁判所の認定した譲渡承諾料(殆どの場合、借地権価格の10%)を支払えば適法に借地権の譲渡をすることが出来る。


 勿論、借地借家法19条3項の規定から地主が「先買権」を行使し、不動産会社が提示した買取金額が予想より低額の場合は、不動産会社を出抜いて地主が借地権を買取ることもありえる。


 従って、不動産会社は、借地人と借地権の売買契約を締結しても借地権を買取れるという保証はない。借地人はどちらが買おうとも投下資本の回収が出来るので特に不利益はない。


 


参考法令
民法(賃借権の譲渡及び転貸の制限)
第612条 賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。


2 賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。



借地借家法(土地の賃借権の譲渡又は転貸の許可)
第19条 借地権者が賃借権の目的である土地の上の建物を第三者に譲渡しようとする場合において、その第三者が賃借権を取得し、又は転借をしても借地権設定者に不利となるおそれがないにもかかわらず、借地権設定者がその賃借権の譲渡又は転貸を承諾しないときは、裁判所は、借地権者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。この場合において、当事者間の利益の衡平を図るため必要があるときは、賃借権の譲渡若しくは転貸を条件とする借地条件の変更を命じ、又はその許可を財産上の給付に係らしめることができる。


2 裁判所は、前項の裁判をするには、賃借権の残存期間、借地に関する従前の経過、賃借権の譲渡又は転貸を必要とする事情その他一切の事情を考慮しなければならない。


3 第1項の申立てがあった場合において、裁判所が定める期間内に借地権設定者が自ら建物の譲渡及び賃借権の譲渡又は転貸を受ける旨の申立てをしたときは、裁判所は、同項の規定にかかわらず、相当の対価及び転貸の条件を定めて、これを命ずることができる。この裁判においては、当事者双方に対し、その義務を同時に履行すべきことを命ずることができる。


 (*)詳しいことは、以前に書いた「Q&A借地権を売却したいのだが、地主が借地譲渡の承諾をしない」を覗いてみてください。




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1999年度宅建問題(借地借家法関係)

2008/02/22 10:31

 借地権の対抗問題
 
〔問13〕 Aは,建物所有の目的でBから1筆の土地を賃借し (借地権の登記はしていない),その土地の上にA単独所有の建物を建築していたが,Bは,その土地をCに売却し,所有権移転登記をした。この場合,借地借家法の規定及び判例によれば,次の記述のうち誤っているものはどれか。


  Aは,建物について自己名義の所有権保存登記をしていても,そこに住んでいなければ,Cに対して借地権を対抗することができない。


  Aは,建物についてAの配偶者名義で所有権保存登記をしていても,Cに対して借地権を対抗することができない。


  Aがその土地の上に甲及び乙の2棟の建物を所有する場合,甲建物にのみA名義の所有権保存登記があれば,乙建物が未登記であっても,Aは,Cに対して借地権を対抗することができる。


  4 Aの建物の登記上の所在の地番が,その土地の地番の表示と多少相違していても,建物の同一性が種類,構造,床面積等によって認識できる程度の軽微な相違であれば,Aは,Cに対して借地権を対抗することができる。.



 


 借家権 敷金関係の承継・取壊し予定の建物の賃貸借
 〔問14〕 賃貸人Aと賃借人Bとの間の居住用建物の賃貸借契約に関する次の記述のうち,借地借家法の規定及び判例によれば,正しいものはどれか。


   「Aは,Bが建物に造作を付加することに同意するが,Bは,賃貸借の終了時に,Aに対してその造作の買取りを請求しない」 旨の特約は有効である。


   Bが死亡した場合で,その当時Bの相続人でない事実上の配偶者Cがこの建物で同居していたとき,Cは,当該建物の賃借権に限っては,相続人に優先してBの賃借人としての地位を承継する。


  この建物が,その敷地の売却に伴い2年後に取り壊されることが明らかな場合に,「建物を取り壊すこととなる時に賃貸借が終了する」 旨の特約をAB間の賃貸借契約に定めるときは,公正証書によってしなければならない。


   BがAに敷金を交付していた場合に,Aがこの建物をDに売却し,賃貸人としての地位をDに承継したときでも,Dの承諾がない限りAの敷金返還債務は承継されず,Bは,Aに対してのみ敷金の返還請求をすることができる。


  


 〔問13〕 正解  1〔X〕  2(0)  3(0)  4(0)


 〔問14〕 正解  1(0)  2(X)  3(X)  4(X)


 〔問13〕の解説
 1 借地権の第三者への対抗要件は登記(借地権の登記 又は 建物の保存登記・表示登記)のみであり、借地上の建物に所有権保存登記がしてあるので、借地上の建物に住んでいなければ対抗できないということはない(借地借家法10条1項)。従って、1 は誤っている。


 2 判例では、借地権の登記をしていない場合の第三者への対抗要件としての「借地上の建物の登記」(所有権保存登記・表示登記)は本人名義の登記でなければならないとされている(最高裁1966年4月27日判決)。従って、2 は正しい。


 3 判例では、借地上に複数の建物がある場合、そのうち1棟の建物に借地権者の登記があれば、他の建物に登記がなくても、その借地全体についての借地権を第三者に対抗出来るとされている(最高裁1997年7月1日判決)。従って、3 は正しい。


 4判例では、借地上の建物の登記上の所在地番の表示が実際のものと多少相違していても、建物の同一性が種類,構造,床面積等によって認識できる程度の軽微な相違であれば、借地権を第三者に対抗することができるとしている最高裁1965年3月17日判決)。従って、4 は正しい。


 〔問14〕の解説
 1 (造作買取請求権)  造作買取請求権(借地借家法33条)に関する規定は旧「借家法」では強行規定であったが、「借地借家法」では任意規定化され、『賃貸借の終了時に、賃貸人に対してその造作の買取の請求をしない』旨の特約は有効とされた。従って、1 は正しい。


 2 (居住用建物の賃貸借の承継) 相続人がいる場合には、その借家権は相続人が相続する。この場合、事実上の配偶者には、借家権の承継は出来ない(借地借家法36条)。従って、2 は誤っている。


 3(取壊し予定の建物の賃貸借) 「取壊し予定の建物の賃貸借」の旨の特約は、建物を取り壊すべき事由を記載した書面によってしなければならないが、公正証書にする必要はない(借地借家法39条)。従って、3 は誤っている。


 4 (敷金関係の承継) 新賃貸人が前の賃貸人から敷金を受領していなくても、敷金の返還債務は新賃貸人に引き継がれる(最高裁1969年7月17日判決)。従って、4 は誤っている。



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競売で取得した新家主の明渡し請求に従前からの借家人は対抗できるか

2008/02/21 01:19

 (問) 平成15年から3DKのマンションを借りています。先日、この建物を競売で取得した新家主から「あなたには対抗力がないので法律上強制的に追い出すことができる」と言って、立退きを要求されました。こういう状態でこの先、ずっと借りつづけることがてきるでしょうか。



 (答)  あなたが平成15年に借りた時に、この建物に既に今回競売の原因になった抵当権が設定されていたのかどうかによって借家人の対抗力の有無が決まります。賃借権の設定と抵当権の設定のどちらが先かによって分かれるのです。


 あなたが賃借した後に抵当権が設定されたのであれば競落した新家主に対抗できるので、従前どおり借り続けられます。


 抵当権の設定の方が先の場合は残念ですが原則として対抗力はありません。
 ただし、民法395条の規定で3年以下の短期契約については、残存期間だけ保護されます(注)。賃貸借契約期間の決め方によって以下の3通りになります。


 (1)契約期間が3年以上の場合
 例えば5年契約の場合は対抗力はありません。5年のうち3年だけ保護されるということでもありません。この場合は新家主と明渡しの猶予期間などで折り合いを付けるほかありません。


 (2)契約期間が3年以下の場合
 この場合は残存期間だけは保護されます。例えば2年契約で契約期間満了まで後1年残っているときは1年だけは借りられますが、それを過ぎると対抗力は無くなります。


 (3)契約期間の定めがない場合
 期間の定めのない契約をした場合や当初は期間を定めたけれども途中で法定更新になり以後期間の定めのない状態になった場合は、競落した新家主の契約解除の請求は、6ヶ月前の通知とか、その建物を自ら使う必要性などの正当事由がなければなりません。


 もっとも、この場合の正当事由の判断は、普通の場合と違いゆるやかにされ、家主有利に判断されます。
 上記(2)と(3)いずれの場合も新家主と、立退料や明渡しまでの猶予期間など相当な明渡し条件で折り合いを付け、和解する事例が多いようです。



東京借地借家人新聞より


 


(注)平成16年4月1日、民法395条「短期賃貸借保護制度」は廃止された。


 しかし、「短期賃貸借に関する経過措置」(附則第5条)により抵当権設定後の建物賃貸借であっても平成16年3月31日までに契約された対抗力のある期間3年以内の建物賃貸借契約の場合は「短期賃貸借の保護」が適用され、その後の更新も認められる。従って、平成16年3月31日までに締結された契約に関しては、現在も短期賃貸借の保護制度は適用されている


 即ち、「この法律の施行の際現に存する抵当不動産の賃貸借(この法律の施工後に更新されたものを含む。)のうち民法602条に定める期間を超えないものであって当該抵当不動産の抵当権の登記後に対抗要件を備えたものに対する抵当権の効力については、なお従前の例による。」(「短期賃貸借に関する経過措置」附則第5条)。
  なお、短期賃貸借の保護を受けている契約の場合、原則的には預託した敷金は新家主から返還されることになっている。




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「賃貸借契約と破産・民事再生・会社再生」

2008/02/20 10:42

  東借連夏季研修会「賃貸借契約と破産・民事再生・会社再生」要旨



2005年9月11日
報告者 弁護士 榎本武光
東京都生協連会館会議室


東借連夏季研修会「賃貸借契約と破産・民事再生・会社再生」 当日のレジメはこちら




一 賃貸借と破産
 賃貸借契約と破産の問題は、借地借家の相談を受ける際に避けて通れない問題になっている。今日話すことは、これさえ押さえて置けば大丈夫であることについて詳しく報告するのでしっかりと理解をしてもらいたい。


 日本経済の大きな流れの中でリストラがすすみ、借家契約をどう位置づけていくか考え方が大きく変わった。今までは、貸主借主の当事者の間の利害の調整だけを考えればよかったが、賃貸借契約を大きな枠組みの中で考えていく必要が出てきた。


 これからの問題は、貸主・借主以外の債権者との係り、破産・倒産したときの社会的仕組みの中で、借主はどういう立場に置かれているのか、借主の権利をどうやって守っていく手段があるのか考えなければならなくなった。そういう問題意識があったため今回の研修テーマに取り上げた。


<1賃借人が破産した場合>
 @賃貸借契約はどうなるか
 お店を借りて商売したが売り上げが上がらず、借りたお金が返せなくなり破産してしまった。しかし、破産しても何とか営業を続けていきたい場合、これまでの民法621条では賃借人が破産してしまうと、その時点で貸主は賃貸借契約の解約を申入れすることができた。


 ところが、破産法制の一環として、何とか挽回の機会を与えようと、平成16年の法改正(平成17年3月1日施行)で民法旧621条は削除された。その結果、賃借人が破産しても賃貸人は賃貸借契約の解約ができなくなり、家賃さえ支払っておけば営業を続けることも住むこともできるようになった。


 借地についても同じだが、銀行から融資を受けて建物を建築し、支払いが出来なくなった場合、破産手続をとらず、建物の任意売却或は競売で資金の回収をするので破産というケースをとることは少ない。


 A賃料はどうなるか
 賃借人が自己破産の申立てをする。裁判所から破産手続き開始決定が出され、それまでにたまっていた賃料は破産債権になる。


 破産した場合に破産者が有していた財産、例えば売掛金、商売道具は財産となり、破産管財人が回収し財源を作る際に債権者は自分の債権をそれぞれ届け出る。家主は滞納家賃の債権を届け出る。そういう債権を破産債権という。


 そうして回収した債権を割り振って払っていくことになるが、戻ってくることがほとんどなく、保護されない債権となる。家主は延滞賃料を全額回収することは困難となる。


 破産手続き開始決定後の賃料については、財団債権となる。賃借人への解約の権利を奪ったためにその見返りとして、賃貸人には賃料の受領が財団債権の中で一番優遇され優先的に保障される。


<2賃貸人が破産した場合>
 @賃貸借契約はどうなるか
 家主が破産すると破産管財人が必ずつく。家主の地位権限が破産管財人の方に全て移ってしまう。破産管財人が賃貸借契約の当事者になり、全て破産管財人と交渉することになる。


 組合に家主が破産したと言う相談があったとき、誰が破産管財人になったか聞き、通常は弁護士が破産管財人になるが、今後のことは破産管財人(弁護士)との関係でやっていく必要があると助言する必要がある。家主が家賃を取りに来ても相手にしてはならない。


 破産管財人は賃借人が対抗要件(借家の場合は引渡し、借地の場合は登記=借地上の建物登記)を備えている場合には賃貸借契約を解除できない。引渡しを受けて使っていれば普通の借家契約は対抗要件が備わっているので大丈夫。家主が破産しても心配することはない。破産管財人が家主の役割をしてくれる。


 賃借人が対抗要件を備えていない時は、破産管財人から賃貸借契約を解除されて明渡さざるを得なくなる。このケースは、お店を借りて権利金等も払って準備している途中、契約して引渡しを受けてない状態で家主が破産してしまう場合で、借家の対抗力がないのでこれは大変不利になる。


 A請求権の性質
 賃借人が破産管財人に対して有する請求権は、賃貸借契約の目的物は使用収益することができる権利であり、これは財団債権となる。(破産法第56条2項)=このことは、賃借人が破産管財人から賃貸借契約が保護されることを意味する。


 B賃料について
 これは今までと変わったのでしっかりと覚えておく必要がある。家主は破産直前になると困って家賃を前払いするよう借家人にいってくる場合がある。
 今までは前払いしても家主が破産すると前払いの回収が駄目だった。従って二重払いの危険があった。
 これからは前払いしてあることを領収書など示せば、前払いしていたことを主張できるようになった。従って二重払いをする必要がなくなった。


 家主が破産する前に、賃料債権を他に譲渡していたときは、破産管財人はその賃料債権を取り立てることはできない。家賃を破産管財に支払いをすることは不可である。賃貸人は賃料債権の譲渡を破産管財人に対して対抗できる。その場合は、賃料の債権譲渡を受けた方に借家人は家賃を払わないといけない。


 不動産が証券化し、リートという金融商品がどんどんできている。不動産業者がオフィスビルやショッピングセンターを造って貸すと家賃が入る。今までだと銀行からお金を借りて建物を建てて家賃で少しずつ回収していたが、まどろっこしい。入ってくる家賃を配当に回し、物件の価値はこのぐらいですよといって証券にして売り出す。銀行は借りたお金は売り出したお金で回収し利益を上げられる仕組みになっている。


 その時にこの仕組みにしないと金融商品は動いていかない。売り出したときに家賃前払いは、いくらするという取り決めをする。いい物件は前払いするケースが多い。自分の身内に未払い債権を回収するために売り、わざわざ家賃の取立てをしない。そういう時売ったものが保護されないとその仕組みが動かなくなってしまう。


 どういう結果を生むかといえば、破産財団がやせ細ってしまう。一般の債権者には配当しなくても構わないという仕組みにしている。金融資本が有利になるよう法制度が変えられている事例である。


 C賃借人の有する債権と賃料相殺の可否について
 借家人が家主に対して有する債権とは、例えば屋根が壊れて自分の費用負担で修繕した。本来なら、必要費は直ちに家主に支払ってもらえるものである。家主が支払いを拒む場合は、内容証明で必要費分を家賃で相殺すると通告して、それを実行し、費用負担した修繕費を回収する。


 しかし、必要費を請求し、払ってもらえないうちに家主が破産してしまった。破産がなければ将来の家賃と相殺するという内容証明を出していたが、それと同じことでいいことになった。


 破産の手続きが開始されると、借家人の方で家主に対して持っている債権、普通だと破産債権になるが、それはあまりに可哀想だということでこれから払う家賃で相殺が無制限に出来ることになった。必要費については賃料債権と相殺することで回収が出来る。


 但し、比較的規模の大きいところ、貸主の関係で民事再生になってしまうと無制限ではない。民事更生とか会社更生は将来生かしていく目的があるので、無制限に家賃から相殺してしまうと立ち直る原資が不足してしまうからである。


 民事再生、会社更生の場合には、手続開始後に弁済期が到来すべき賃料債務のうち6か月分相当額についてのみ相殺できる(民事再生法第92条2項、会社更生法第48条2項)。
 例えば、借主の方に200万円の債権がある場合は、家賃30万円だと180万円だけ回収できる。家賃が50万円だと6か月で300万円なので200万円は全額回収できる。家賃の6か月分に限定・制限される。
 だけれど、借主の方が家主に債権を有することはできるだけ避けた方がいい。修理などは自分でやらないで家主にやらせる方が良い。立替えた修理費用が全額回収出来なくなる恐れがあるからだ。


 D保証金・敷金について 
 預けたお金の性質をはっきりさせる必要がある。保証金と敷金の性質をはっきりさせて、敷金は建物を明渡した後返してもらえる。保証金というのは借家人が家主に対する貸金として分離して扱った方がよい。


 今までは保証金は家主が破産すると返って来ないので敷金の方が有利だよという話をしていた。今度はまるっきり逆で、保証金については貸金ということで、借家人が家主に対して債権を有するパターンに当て嵌まり、家賃で直ちに相殺することが出来るように変わった。従って、保証金は破産になると自動的に償却できることになった。


 敷金を保護するために、これからは返るべき敷金をとっておいてもらうために賃借人は破産管財人に対して寄託の請求をすることができる(破産法第70条)。しかし、寄託の請求手続を破産管財人に対して自ら行わないと敷金は戻ってこない場合がある。従って必ず賃借人は破産管財人に対して、支払額の寄託を請求する必要がある。


 出来るということは怖いことで言わないと破産管財人はやってくれない。家主が破産したという通知があったときに、破産管財人に対してこれから払う家賃を敷金としてとっておいてほしいと、家賃の5か月分の敷金であれば「寄託してくれ」と5回内容証明郵便で通知する必要がある。寄託の請求をしておけば敷金は返ってくる。


 民事再生、会社更生の場合には、寄託請求の制度が無いので手続はとれない。手続開始後に賃料債務を支払ったときは、敷金の返還請求権は賃料の6か月分の範囲内における支払額を限度として共益債権とする(民事再生法第92条3項、会社更生法第48条3項)。従って敷金返還請求権は6か月までに制限される。


 保証金については、従来は敷金として取扱った方が法的に保護されていた。しかし今後、保証金は貸金債権として扱った方が、直ちに賃料債務と相殺できるので有利となった。今後、保証金は貸金と主張する必要がある。6か月分以上の敷金は返ってこない。


 


二 競売と賃貸借契約


 <1抵当権設定前の賃貸借契約について>
 抵当権設定前から借りている場合は、新しい買受人に対して賃貸借契約を主張できる。買受人は前の所有者と賃借人との契約内容をそのまま承継しなければならないので契約は継続され、居住権は守られる。


 ところがそういうケースはまれで、建物を建築する場合には銀行から建築資金を借り、建物の保存登記とあわせて抵当権の設定登記がされ、抵当権の設定登記の後に借りる方が一般的である。


 <2当権設定後の賃貸借契約について>
 競売によって買受けた人に対しては賃借人は対抗できない。借家人は弱く原則では負けてしまうが、例外的に今まで民法の395条では建物については3年間だけ抵当権の後に借りた人でも保護される。2004(平成16)年の4月1日にこの規定が廃止された。


 平成16年4月1日以降は買受人に対して猶予期間として6か月間だけしか借りることができなくなった。さらに、買受人の方から家賃とはいわず使用の対価につき1か月分以上の支払いを催告されたにもかかわらず払わないと、6か月の保護はなくなって明渡さなくてはいけなくなるというように法律が変わってしまった(改正民法第395条2項)。


 平成16年3月31日までに締結された契約期間3年以内の契約は395条の短期賃貸借の保護がある(付則第5条短期賃貸借契約に関する経過措置)(注)。相談を受ける際には、何時から借りたかを押さえて置く必要がある。



(注) 「短期賃貸借に関する経過措置」により次の条件を満たしていると「短期賃貸借の保護」が継続される。
 即ち、「この法律の施行の際現に存する抵当不動産の賃貸借(この法律の施工後に更新されたものを含む。)のうち民法602条に定める期間を超えないものであって当該抵当不動産の抵当権の登記後に対抗要件を備えたものに対する抵当権の効力については、なお従前の例による。」(担保物権及び民事執行制度の改善のための民法等の一部を改正する法律・平成15年8月1日法律第134条、「短期賃貸借に関する経過措置」附則第5条)。


 この附則第5条により抵当権設定後の建物賃貸借であっても平成16年3月31日までに契約された対抗力のある期間3年以内の建物賃貸借契約の場合は「短期賃貸借の保護」が適用され、その後の更新も認められる。


 


 質疑応答>


(Q1)借主は、管財人に対して家賃も含めて契約の内容を解るように通知書を出さないといけないのか。
(A1)破産した人は、賃貸借契約の内容を破産管財人に説明しなければいけない。貸主の説明は一方的なものなので正しいかどうか解らない。従って、借主の方として差し入れているお金の内容を説明し、誤解のないようにしておく必要はある。敷金だというのは注意が必要だ。保証金の名目はいろいろな要素が入っている。例えば敷金や貸金、保証金の償却など入っているが、位置づけについて貸金の部分が圧倒的多いということを言っておく必要がある。


(Q2)言っておくだけでいいのか。
(A2)
最終的にはもめることになる。保証金が敷金でもめることになる。今までと逆で保証金と言った方が有利だ。保証金であれば家賃で落とすことが可能になる。


(Q3)破産管財人が任意売却できなくて、競売になるとどうなるか。
(A3)
一般的にいうと競売の方が賃借人に不利になる。家主が破産して破産管財人がついても銀行は独自に担保持っているので拘束されない。独自に競売しようとする。そこで折衝する。任意売却するときに、破産管財人と銀行とで双方で値段をつけ、いくら破産財団にお金を回してくれるかで任意売却先が決まる。任意売却だと賃貸借契約を引き継ぐ形のパターンとなる。それがまとまらないと破産でいくか競売でいくか又分かれてしまう。競売は買受人がいくらで買うか判らないのでどれだけ回収できるか銀行としては不安がある。多少損をしても確実に改修できる方法を選ぶ。ただし、売却しても利益がでないと破産管財人は放棄してしまうので、銀行だけが競売に回すケースも出てくる。


(Q4)寄託の請求はどういう方法でやるのか。
(A4)
請求をしたかどうかでもめるので内容証明で行なう。


(Q5)寄託とは何か。
(A5)
破産管財人は入ってくるものを一つの財布に入れてしまう。寄託の請求をすると、破産管財人は別の財布にして銀行の方に入れるようにする。借家人は敷金返還のために寄託を請求致しますと文書をつける。


(Q6)寄託請求は家賃を支払う際に毎回するのか。
(A6)敷金が5か月分あったら5回寄託の請求をした方が間違いはない。


(Q7)賃借人が破産して契約を継続しても、また家賃を滞納した場合はどうなるか。
(A7)
一般の賃貸借の条項に基づいて判断される。家賃が少し遅れたことだけで契約解除が有効になるのではなく、信頼関係破壊かどうか総合的に判断される。破産管財人と連絡が取れず、家賃が2か月滞納するケースもある。


(Q8古い契約書には、よく「賃借人が破産した場合は契約解除できる」という条項が書かれているが、これは有効なのか。
(A8)
今度の改正で無効である。


(Q9)建物明渡し猶予期間中の使用の対価について、相手側が今までの家賃額が安いからといって高い金額を言われても払わないといけないか。
(A9)
本来の家賃が15万円の家賃なのに8万円しか払っていないケースは、買受人は15万円を請求する。これを使用の対価という。当然争いになる。借家人は10万円と主張し、10万円を払っておけば解約にならない。6か月の猶予期間は認められるが、のちのち差額の5万円めぐってお金の請求という問題は残る。


(Q10)使用の対価を払わないとどうなるか。
(A10)
払わないと裁判所から引渡し命令が出て、追い出されてしまう。


   東借連夏季研修会「賃貸借契約と破産・民事再生・会社再生」 当日のレジメはこちら




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(問題17) 連帯保証人に代わる賃貸保証委託契約の解除

2008/02/19 02:04

(問題17) 連帯保証人に代わる賃貸保証委託契約の解除



 連帯保証人がいないので連帯保証会社に保証料を支払って契約した。2年の契約期間が満了し、不動産会社から賃貸保証委託契約を再度結ぶように要求されたが、委託契約を解除できるか。更新保証料を支払わないと、賃貸借契約は解除されるとの特約が記載されている。



 (@解除できる。 A解除できない。)



 解答は以下の解説で



1,資料として貰った「日本セーフティー株式会社」の委託契約書の第2条に次の約定があります。「2 賃借人は保証期間の満了日までに保証会社の指定する期間内において,上記規定の更新保証料を支払わなければならない。その場合の保証期間は上記更新期間で更新するものとし,以後の保証期間の満了日においても同様とする。賃借人が更新保証料を支払わない場合は,本契約及び本賃貸借契約を解除したものとみなし上記保証物件を明渡しするものとする。」。下線の部分の特約が問題です。



2,同じ契約書の第5条に「4 賃借人は保証会社に対し本賃貸借契約解約を申し出る行為,または賃貸人からの本賃貸借契約解除を承諾する行為を委託するものとする」とあります。これを解除代理権の付与といいます。



3,賃借人が,賃料を延滞したり,保証会社に更新保証料を払わなかったりすると,保証会社が賃借人を代理して賃貸借を解除すると賃貸人に通告してしまい,賃借人は物件を明け渡さなくてはならない(追い出される),という訳です。



4,賃借人が更新保証料は高いので今度は身内・友人を保証人にして更新したと希望すると,借り続ける意思(や賃料支払いの事実)自体はあるのに,更新保証料を支払わないというだけで,借家権を失う。かような特約は,民法90条(公序良俗)に反する,あるいは消費者契約法違反として,無効とすべきではないかと思います。判例はまだないようです。



5,根本的に,賃借人に原賃貸借契約違反(賃料延滞等)があった場合,賃借人の代理で保証会社が賃貸人に対して原賃貸借契約を解除できるということ自体に問題があります。さらに,保証会社の契約書は,この代理解除権を前提に,契約違反のあるときに,@無断立ち入り権,A物件使用の一時禁止(施錠),B部屋の中の家財の処分権,等を規定していますが,賃貸人がやれば自力救済として違法となるこれらのことが,保証会社だからできるという法はあり得ません。



6,消費者契約法が改正され,消費者契約法違反の約款を以て事業している事業者に対し,認定適格消費者団体(日本消団連も認定団体となった)から,「消費者契約法違反の条項を含んだ契約の締結の差し止め命令」を請求できるようになりました。賃貸保証委託契約は,この一つの適用事例となりかもしれません。



 (関連)連帯保証人サービスに関してはこちらも参考にして下さい。





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問題16) 借地人の名義変更と対抗力

2008/02/18 09:38

 (問題16) 借地人の名義変更と対抗力
 夫名義の借地契約で、事情があって3年前に地主の承諾を受け建物の登記名義を妻名義に変更した。地主の土地には10年前に抵当権が設定されていた。地主の土地が競売になり、競落した新しい地主から明渡しを請求されているが、新しい地主に対して借地人は対抗できるか。



 (@借地人は対抗できる。 A借地人は対抗できない。)



(解答)
 夫の借地契約は,抵当権設定の10年前より更に前と前提。原則として,「A借地人は対抗できない。」となってしまう。



 
(参考)
東借連【借地借家人新聞】2001年4月15日第409号「借地借家相談室」
 東京・台東借地借家人組合2ブログ参照



<父親名義の借地に息子名義の建物を
             建てたらどのような問題が生ずるか >



(問) 借地契約の名義は父です。新築の建物は銀行融資の関係で息子である私の名義にしようと思っていますが、何か不都合がありますか。



(答) 「借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる」(借地借家法第10条1項)。



 借地上の建物につき、借地人が登記をしておけば、土地の所有者が代わっても新所有者に対し、自分の借地権を主張できるので借地の明渡しを求められることはない。この建物登記が借地人本人の所有名義でなされていれば問題はない。



  だが、相談者の場合のように建物登記を長男名義にしなければならない場合も出てくる。また、借地人の死後の相続問題を顧慮して、借地上建物の登記名義を予め妻子名義にしておく場合もある。その場合、借地権を第三者(土地の新所有者)に対抗(主張)出来るのかという問題がある。



 従前は@長男名義の建物登記(東京地裁1951年2月2日判決)、A母名義の建物登記(同1952年6月5日判決)、B未成年の子を名義とする建物登記(東京高裁1954年5月11日判決)に関して第三者に対抗できると判断されていた。



  しかし、最高裁(大法廷)は、借地人が同居の長男名義で建物の登記をした場合について「地上建物を所有する賃借権者が、自らの意思に基づき、他人名義で保存登記をしたような場合に、当該賃借権者は、その賃借権を第三者に対抗する事はできない」(1966年4月27日)としてその借地権の対抗力を否定した。1審・2審の借地人勝訴の判決を破棄し、借地人に建物収去・土地明渡を命じた。



 その後も最高裁は、@妻名義の登記(1972年6月22日判決)、A子名義の登記(1975年11月28日判決)、B義母名義の登記(1983年4月14日判決)について大法廷判決の趣旨に従い終始一貫、借地権の対抗力を否定し続けている。



 以上のことから窺えることは、最高裁の判例の変更の可能性は殆どない。借地人としては、こういう厳格な形式論の判例があるということを承知して借地名義と借地上の建物名義を一致させておく努力は必要である。



 結論としては、最高裁の判例の変更がない限り、借地人と一致しない家族名義の建物登記では第三者には対抗できない。




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(問題15) 店舗の定期借家契約への切替

2008/02/15 09:18

(問題15) 店舗の定期借家契約への切替
 店舗の普通借家契約が期間満了で契約更新に当り、更新ができるので今までの契約と変わりはないと言われ、2年間の定期借家契約に変更しました。家主からは定期借家契約について事前の説明は受けておりません。定期借家契約を取消して普通借家契約に戻すことはできますか。

 (@取り消すことはできない。 A取り消すことができる。)



(解答)
A取り消すことができる



(解説)
東京・台東借地借家人組合2【2007年4月17日 (火)】 (参考)



 無効な定期借家契約



 仙台市でアンティ―クの雑貨のお店を営業している斉藤さんは今年の8月に建物を取り壊すので明渡して欲しいと言われた。突然の話しで困っていると家主はいきなりこの契約は今年の2月までの定期借家契約で期限が過ぎているので6ヶ月の予告で解約できると言ってきた。



 心配になってインターネットや本などで借地借家人組合と言う組織の存在を知って相談にきた。電話での相談で困難な面があったが、契約書などをファックスで送付したところ、定期賃貸借契約だという家主の主張には定期借家契約に必要な書面による通知がなかった。その上、家主の夫は宅建主任の免許をもっており、その仲介での契約であった。家主の代理人である弁護士からは」「定期借家契約に基いて、引き続き契約するならば定期借家契約。それ以外ならば明渡しを求める」との通知がきた。



 組合では斉藤さんと相談し「この『定期借家契約』そのものが借地借家法第38条2項の文書がないことで無効となり、通常の賃貸借契約であること。又、期限が過ぎての契約解除通告は無効である」と主張することにした。



東京借地借家人新聞より



 参考法令は「借地借家法
 (定期建物賃貸借
第38条
 期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による等書面によって契約をするときに限り第30条の規定にかかわらず、契約の更新がないこととする旨を定めることができる。この場合には、第29条第1項の規定を適用しない。



 前項の規定による建物の賃貸借をしようとするときは、建物の賃貸人は、あらかじめ、建物の賃借人に対し、同項の規定による建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。



 建物の賃貸人が前項の規定による説明をしなかったときは、契約の更新がないこととする旨の定めは、無効とする。



 第1項の規定による建物の賃貸借において、期間が1年以上である場合には、建物の賃貸人は、期間の満了の1年前から6月前までの間(以下この項において「通知期間」という。)に建物の賃借人に対し期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知をしなければ、その終了を建物の賃借人に対抗することができない。ただし、建物の賃貸人が通知期間の経過後建物の賃借人に対しその旨の通知をした場合においては、その通知の日から6月を経過した後は、この限りでない。



 第1項の規定による居住の用に供する建物の賃貸借(床面積(建物の一部分を賃貸借の目的とする場合にあっては、当該一部分の床面積)が200平方メートル未満の建物に係るものに限る。)において、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、建物の賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、建物の賃借人は、建物の賃貸借の解約の申入れをすることができる。この場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から1月を経過することによって終了する。



 前2項の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。




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(問題14) 地主の死亡と地代の支払先

2008/02/14 10:36

 (問題14) 地主の死亡と地代の支払先
 地主が亡くなった。今までは亡くなった地主の銀行口座に地代を送金していた。亡くなった直後に、複数の相続人の一人より、地主が経営していた会社の銀行口座に地代を送金するよう指示されたが、その通り支払った方がよいか。



 (@ 地主の相続人の指示通り送金する。  A相続人が不確定なので法務局に供託する。)



 (解答)
 一応,「@地主の相続人の指示通り送金する。」ことで良いと考えられるが,2005(平成17)年に最高裁判例(後記)が出て,「A 相続人が不確定なので法務局に供託する。」の方が無難となった。



 (解説)
 共有不動産の賃貸での,賃料債権は不可分債権



 東借連【借地借家人新聞】2004年4月15号第469号
 借地借家相談室
 共有による複数の貸主に対して賃料は別々に持分割合に応じて払うのか



 (問) 建物や土地の所有者が死亡し、複数の相続人による共同相続により、単独所有から共同所有によって建物や土地が共有に変わった。その場合、借主は賃料を各人に分割し、それぞれの相続割合に応じて各人にそれぞれ支払わなければならないのか。



  (答) 土地や建物の貸主が死亡した場合、相続人は土地や建物の所有権を相続すると同時に貸借関係についての貸主の地位を承継する。相続人が数人あるときは、相続財産は、共同相続人の共有に属する(民法898条)。



  最近は、不動産小口化商品の1つとして投資者等が細分化された建物の共有持分を買受けるケースが多くなっている。



 共同相続人や共有持分取得者が貸主人の地位を承継した場合貸主が複数になる。その場合、借主は相続割合に応じて賃料を各人にそれぞれ分割して支払わなければならないのか、それとも、貸主の内の1人に賃料を全額支払えば、それで全員に弁済したことになるのかが問題になる。



  この問題に対して、共有物件の賃料は「不可分債権」であるという判例(東京地裁1972年12月22日判決)がある。



  家賃・地代は金銭で支払う債務であるから一見したところは分割債務とするのが素直なように思われる。即ち分割が出来る可分債権に思える。しかし、共有賃料を可分債権とみなすと色々不都合が生じる。



  例えば貸主の各自は自分の共有持分の賃料しか請求・受領が出来ないし、借主からすれば、複数貸主の各人に別々に賃料を支払わなければならず、どちら側からも不便である。



 そこでこの不都合を避けるために判例は、共有賃料はその性質上不可分債権とみなした。
@不可分債権には性質上不可分給付と意思表示による不可分給付がある。
A不可分債権においては、債権者の1人が債務者に履行を請求すると、総ての債権者が履行を請求したのと同様の効果が生じる。
B債務者が債権者の1人に履行すると、総ての債権者に履行したものと同様の効果が生じる
(@ABは民法428条)。



  このことから、共有賃料は共同貸主の内の1人に賃料の全額を支払えば、それで総ての貸主に弁済したことになる。



 弁済供託を行う場合も同様に考えればよいことが判る。





 下記の最高裁判決が,遺産分割未了の共有不動産の賃料債権は,各相続人の単独債権としたことから,供託が無難



 相続と賃料/共同相続における遺産分割までの不動産賃料の行方
解説
  川島法律事務所 弁護士 早川篤志



 オーナーの死亡により相続が発生した場合において、相続人が複数存在するときは、オーナーが所有していた不動産は、相続人の共有となります(民法第898条)。その後、遺産分割協議が成立した場合、当該不動産を相続した者は、遺産分割の効力が相続開始時にさかのぼる(民法第909条)として、相続開始後に発生した当該不動産の法定果実である賃料も相続開始時にさかのぼって取得することになるのでしょうか。



 それとも、当該賃料自体は、遺産ではない以上、相続開始時にさかのぼることはないのでしょうか。



 本判決は、相続開始から本件遺産分割決定が確定するまでの間に不動産から生じた賃料債権は、相続人がその相続分に応じて分割単独債権として取得し、確定的に取得した賃料債権の帰属は、後にされた遺産分割の影響を受けないと判断しており、実務上参考になると思われるので紹介します(最高裁平成17年9月8日判決、最高裁ホームページ)。



 1 事案の概要
 (1) Fは、平成8年10月13日、死亡しました。その法定相続人は、妻であるBのほか、子であるA、C、D及びE(以下、この4名を「Aら」といいます)です。



 (2) Fの遺産には、第1審判決別紙遺産目録1(1)〜(17)記載の不動産(以下「本件各不動産」といいます)があります。



 (3) B及びAらは、本件各不動産から生ずる賃料、管理費等について、遺産分割により本件各不動産の帰属が確定した時点で清算することとし、それまでの期間に支払われる賃料等を管理するための銀行口座(以下「本件口座」といいます)を開設し、本件各不動産の賃借人らに賃料を本件口座に振り込ませ、また、その管理費等を本件口座から支出してきました。



 (4) 大阪高等裁判所は、平成12年2月2日、同裁判所平成11年(ラ)第687号遺産分割及び寄与分を定める処分審判に対する抗告事件において、本件各不動産につき遺産分割をする旨の決定(以下「本件遺産分割決定」といいます)をし、本件遺産分割決定は、翌3日、確定しました。



 (5) 本件口座の残金の清算方法について、BとAらとの間に紛争が生じ、Bは、本件各不動産から生じた賃料債権は、相続開始の時にさかのぼって、本件遺産分割決定により本件各不動産を取得した各相続人にそれぞれ帰属するものとして分配額を算定すべきであると主張し、Aらは、本件各不動産から生じた賃料債権は、本件遺産分割決定確定の日までは法定相続分に従って各相続人に帰属し、本件遺産分割決定確定の日の翌日から本件各不動産を取得した各相続人に帰属するものとして分配額を算定すべきであると主張しました。



 (6) BとAらは、本件口座の残金につき、各自が取得することに争いのない金額の範囲で分配し、争いのある金員をAが保管し(以下、この金員を「本件保管金」といいます。)、その帰属を訴訟で確定することを合意しました。 本件は、Bが、Aに対し、B主張の計算方法によれば、本件保管金はBの取得すべきものであると主張して、上記合意に基づき、本件保管金及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成13年6月2日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるものです。



 2 裁判所の判断
 遺産は、相続人が数人あるときは、相続開始から遺産分割までの間、共同相続人の共有に属するものであるから、この間に遺産である賃貸不動産を使用管理した結果生ずる金銭債権たる賃料債権は、遺産とは別個の財産というべきであって、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得するものと解するのが相当である。遺産分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずるものであるが、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得した上記賃料債権の帰属は、後にされた遺産分割の影響を受けないものというべきである。



 したがって、相続開始から本件遺産分割決定が確定するまでの間に本件各不動産から生じた賃料債権は、B及びAらがその相続分に応じて分割単独債権として取得したものであり、本件口座の残金は、これを前提として清算されるべきである。そうすると、上記と異なる見解に立って本件口座の残金の分配額を算定し、Bが本件保管金を取得すべきであると判断して、Bの請求を認容すべきものとした原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨は理由があり、原判決は破棄を免れない。そして、本件については、更に審理を尽くさせる必要があるから、本件を原審に差し戻すこととする。



 3 コメント
 本判決は、
(a)相続開始から遺産分割までの間に遺産である賃貸不動産から生ずる賃料債権は、遺産とは別個の財産、
(b)各共同相続人は、これをその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得する、
(c)賃料債権の帰属は、後にされた遺産分割の影響を受けない、
と明確に判断しています。



 本判決により、テナントは、オーナーの死亡により相続が発生した場合、賃料について、各共同相続人からその相続分に応じて支払請求を受けることになります。もっとも、テナントには、そもそも誰が相続人か分からないのが通常であると思われます。また、遺産分割協議が成立した後は、当該不動産の相続人から賃料の支払い請求を受けることになりますが、同様に、遺産分割協議の成否について、関係者でないテナントには分からないのが通常であろうと思われます。テナントとしては、オーナーが死亡した場合、相続人全員により賃料支払用の銀行口座が指定されでもしない限り、債権者不確知を理由として供託による対処をせざるを得ないと思われます。そして、遺産分割協議書が別途提示されでもしない限り、供託を続けざるを得ないと思われます。




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(問題13)  借家人の破産

2008/02/13 09:40

(問題13)  借家人の破産
 借家を借りて商売をしているが、商売がうまくいかず破産をした。家賃は滞納せずに支払っているのに、契約書に書いてあるので家主から借家の明渡しを請求されたら明渡さないといけないのか。



        (@明渡す必要はない。  A明渡しに応じるしかない。)



 (解答)
 @明渡す必要はない



 (解説)
 
東京・台東借地借家人組合4  
 「賃借人が破産した場合には賃貸人は賃貸借契約を解除することが出来るか」 (参考)





  賃借人が破産した場合には
      賃貸人は賃貸借契約を解除することが出来るか



(問) 賃借人が破産した場合、賃貸借契約はどうなるのか。



(答) 〈賃借人が破産した場合〉
 賃借人が破産するという典型的なケースは、借家人が店舗を借りて営業し、その経営が行詰って自己破産する場合である。破産しても何とか営業を続けていきたいと思っても、従来は賃借人が破産した場合は民法621条に基づいて賃貸人及び破産管財人は解約の申入れをすることが出来た。



 今までは、借家人が破産した場合、破産が契約の終了原因になり、解約の申入れには「借家法1条の2の『正当事由』を考慮する必要はなく、もっぱら621条が適用される」(最高裁1970年5月19日判決)。このように破産を理由にして借家契約の解除が出来た。他方、借地人が破産した場合は、解約の申入れには「賃借土地上に建物を所有している場合は、借地法4条1項但書、6条2項の『正当事由』が必要である」(最高裁1973年10月30日判決)としている。



 だが破産法の改正(2005年1月1日)により、破産しても再起出来るよう挽回の機会を与える必要があるとして民法旧621条が削除された。その結果、賃貸人は破産したことを理由に借家契約を解除することは出来なくなった。従って、賃借人は賃料を支払っていれば賃貸借契約は継続することが出来るようになった。営業も居住も今まで通り続けられる。



 借地についても破産に関しては考え方は同じである。しかし借地の場合、例えば銀行から融資を受けて建物を建築し、銀行への支払いが出来なくなった場合、大概は借地人の建物を任意売却或は競売で資金の回収を図るので破産というケースをとることは稀である。



賃料はどうなるのか
賃借人が自己破産の申立をする。裁判所から破産手続開始決定前に賃借人が延滞していた賃料については破産債権となり、賃貸人にとっては保護されない債権となる。従って賃貸人は延滞賃料を全額回収することは困難となる。



 破産手続開始決定後の賃料については財団債権となる。賃貸人は解除権を奪われた見返りに賃貸人には賃料の受領が財団債権の中で優先的に保障される。



 なお、破産手続開始決定前に延滞していた賃料については破産債権となるが、破産手続決定後に、賃借人が財団債権としての賃料の不払・延滞等の事由があれば、当然、賃貸人から民法541条に基づいて契約を解除される。




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(問題12) 賃貸人の破産

2008/02/12 09:35

(問題12) 賃貸人の破産
  家主が破産し、競売手続きで競落した新しい家主から2ヶ月以内にマンションを退去するよう通告された。契約期間があと8ヶ月残っているが立退かないといけないのか。



   (@立退く必要はない。A2ヶ月以内に立ち退く。B残存期間まで立ち退く必要はない。C6ヶ月間は立退く必要ない。)



(解答)
1)物件に抵当権が全く設定されていないとき
 a,競売のための差押登記前に借家契約をし,引き渡しを受けている場合は,@立退く必要はない
 b,差押登記後の借家契約の場合は,C6ヶ月間は立退く必要ない



 2)物件に抵当権が設定されているとき
 a,それによる実行か否かに関わらず,最先順位の抵当権設定前から借家契約をしている場合は,@立退く必要はない
 b,最先順位の抵当権設定の時期以後に借家契約をした場合は,C6ヶ月間は立退く必要ない



(解説)
【岡山県:菊池綜合法律事務所HP(参考)

13競売になると借家権はどうなるか



 競売と借家人ー借家が競売になったときは、すぐに建物をでないといけないのですか。



 6ヶ月の明渡猶予が認められます。



 ただ、建物の1番抵当権の設定前からの借家人は、抵当権者に対抗できる賃借権を持っていますので、競売による建物買受人に対しても、賃借権の対抗ができ、借家が競売になって買受人が現れても、引き続いて建物の賃借人であり続けることができます。



 しかしながら、通常、マンションやアパートの場合は、銀行からお金を借りてマンション等を建築する例がほとんでしょうから、建物に入居した時点では建物に抵当権が設定されているのが通例と思われます。したがって、抵当権の設定前からの建物賃借人ということは希なことと思われます。多くの、というより、ほとんどの借家人は、抵当権者に対抗できないものと思われます。



 このような抵当権に対抗できない借家人でも、改正 担保・執行法(平成16年4月T日施行)により、建物の競売による売却の時(代金納付の時)から6ヶ月間は、建物を明け渡さなくてもよいことになりました。その代わり、従前からあった期間3年以内の短期賃借人の保護はなくなりました。



 ただ、借家人といっても、無償で借りている、いわゆる使用貸借権者には、明渡猶予の恩恵はありません。



 家賃はどうなるかと言いますと、明渡猶予の適用を受ける借家人は、家賃の支払い義務はありませんが、家賃相当額の不当利得返還義務を負います。万一、競売での買受人が借家人に対し、相当の期間を定めて、その1ヶ月分以上の支払いを催告したにもかかわらず、その期間内に支払いをしないときは、期間経過後は明渡を拒むことができなくなります。




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(問題11) 告知されなかった前入居者の死亡

2008/02/11 11:23

 (問題11) 告知されなかった前入居者の死亡
 
入居して1ヶ月が経つが、今借りている部屋が3年前に入居者が自殺した部屋だった。不動産屋から知らされていなかったが、気持ちが悪いので部屋を出たいが、礼金や手数料、引越し代を家主に払ってもらえるか。



    (@払ってもらえる。 A自費で引越すしかない。)



 (解答)
  @払ってもらえる



 (解説)
  設問は【家主に対して】
 [事例 ―過去に自殺の事実があった事例]



 借主がアパートに入居した。ところが、その部屋で「2ヶ月前」に首つり自殺があったことが判明した。借主はこの事実について何も説明されていなかった。仲介業者に確認すると、仲介業者も、貸主から何も説明されていなかった。しかし、調査してみたら、自殺は事実で、貸主が隠していたことが判明した。



(1)借主は、賃貸借契約を解除し損害賠償請求できるか?



 【答】 一般的にはできる。



 【解説】 
@ 賃貸ではなく売買の事例であるが、建物において過去に自殺があった事実が「瑕疵」にあたるとされた裁判例(横浜地方裁判所平成1年9月7日判決)()がある。そのため、瑕疵担保責任に基づく契約解除・損害賠償の主張が認められる可能性がある(民法570条、559条)。
)売主の妻が6年前に首吊り自殺した事例(判例時報1352号126頁)。・・・・<東京・台東借地借家人組合>



A 契約締結交渉過程で自殺の事実を告げないことは、情報提供義務違反の契約締結上の過失があるとして、契約締結上の過失に基づく契約解除・損害賠償の主張が認められる可能性がある(民法1条2項)。



B 不法行為に基づく損害賠償の主張が認められる可能性がある(民法709条)。





(2)自殺が2年前の場合も解除し損害賠償請求できるか?



 【答】 一般的にはできる。



 【解説】
 自殺から2年間経っていても、通常の借主は気にすると思われ、「瑕疵」となる可能性がある。同様に、契約締結上の過失、不法行為が成立する可能性もある。



(3)自殺後、既に何人も、借主が入れ替っていたらどうか?



 【答】 一般人から見て重大な嫌悪すべき事情にあたらなければできない。



 【解説】
 自殺後、長い期間が経ち、更に既に何人も借主が入れ替っていたら、嫌悪すべき事情は薄まると見ることができる。したがって、客観的に見て通常の借主は気にしないだろうと判断されるならば、瑕疵担保責任も、契約締結上の過失も、不法行為責任の問題は生じない。



 ところで【不動産仲介業者に対して】
 入居決定に重要な影響を及ぼす事項は説明しなくてはならない



 賃貸を仲介する不動産業者は、入居希望者に対して自殺者が出たことを説明する義務があるでしょうか
 宅地建物取引業法は、宅地建物取引業者に対して重要事項の説明義務を科していますが、自殺者が出たことを説明しなければならないとは規定していません。



 しかし、重要事項として列挙されていなくても、アパートを借りるかどうかの意思決定に重要な影響をおよぼす事項は、賃貸借契約に付随する義務として、入居希望者に説明する義務があります。自殺者の出たアパートであることは、通常、入居を決める上で、極めて重要な事項だと考えられますので、入居希望者に説明しなければならないといえます。



 ところで、自殺者が出たことを説明しなかった場合、入居後に入居者が知って退去に至ることも考えられます。その際、入居者は、説明義務違反および債務不履行に基づいて、損害賠償請求、契約解除をすることができます。損害の中には、当然、敷金、礼金、引っ越し費用が含まれます。説明を受けていれば、入居者は、支払う必要のない費用だったのですから。



 では、いつまで自殺者が出たことを説明すべきかという問題ですが、永久にというわけではありません。次第に忘れ去られるものですから、常識的に判断するほかないと思われます。



                                      (Owners誌2003年9月号より)




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(問題10) マンションの会社契約からの変更

2008/02/08 09:16

 (問題10) マンションの会社契約からの変更
 賃貸マンションを会社契約しているが家賃は個人で家主に支払っている。都合により会社を退職した。個人の契約にして今まで通り住み続けたいが、家主は新規契約なので敷金と礼金を支払うよう請求されたが支払わないといけないか。




  (@支払って契約する。 A支払う必要はない。)



 
 (解答)
 @支払って契約する



 (解説)
 会社から家賃補助を得て個人で家賃を支払っていたとしても,それは賃借人である会社の家賃支払債務を個人が第3者払いしていた関係で,契約当事者はあくまで会社なので,個人に変更したいときは,新規契約となる。




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